第15話 コイノシルシ

「あの子達は……?」


僕は村人に聞いてみた。


「男の子の名前はカナタくん。

 錬金術師なのか色んなものをルビーに変えることができるんだ」


「へぇ……」


それは凄いな。

お金持ちじゃん。


「そして女の子の名前はアイちゃん。

 ファルシオン遊撃部隊の隊長キサラギさまの娘さんだ」


その会話が聞こえたのか二人がこちらに近づいてきた。


「清空さんだ!」


「……アイか?」


清空さんが少し驚いている。


「うん、未来の回復術師アイだよ!」


アイさんの笑顔が眩しい。


「旅をしていると聞いたが……

 本当だったのか?」


「うん!カナタくんと世界を旅することになったの。

 この村の人が困っていたからなんとか出来ないかな?って思っていたんだ」


「そうか……

 ファイアードラゴンに襲われたのに村の一部が赤くなっているのは、そのカナタくんの力なのか?」


「うん」


清空さんの質問にカナタくんが短く返事した。


「で、異世界から来たお姉さんというのは、どこにいるの?」


僕は尋ねた。

もしかしたら同じ世界の人かもしれないと……


「わかんない」


「え?」


「ある日突然消えた」


「そうなの?」


「うん」


「そっか……」


「ソラくん、えっとこの子も異世界から来た人なの」


シエラさんが僕のことを紹介してくれた。


「そうなの?」


アイさんが目を輝かせる。


「へぇ、特殊能力はあるの?


「わかんない」


「そのうち開花しますよ」


ハラペコクリスティーヌさんが優しく微笑む。


「では、あの隅っこで小さくなった狼さんはどうしますか?

 ご飯にしますか?ご飯にしますか?毛皮にしますか?」


シエラさんが、恐ろしいことを言う。


60匹の狼にアイさんは近づく。


「アイ、何してるの?」


カナタさんが驚く。

飢えた狼だもんね。

アイさん食べても食べたりないくらいハラペコだよ。


「でも、狼は動かない」


アイさんは、よっこいしょっとドラゴンの大きな尻尾を狼の前に置いた。


不思議そうな顔で狼はアイさんを見ている。


「お腹空いているんでしょ?

 ドラゴンさんの尻尾食べていいよ」


狼たちが恐る恐る尻尾に近づき。

そして食べ始めた。

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