第16話 奪えば何かを失い与えれば何かを得る

「アイはテイマーの素質があるんだ」


カナタくんがそういって教えてくれた。


「そうなんだ……ってあれ?ヒーラーを目指しているんじゃないの?」


「うん、キサラギさんみたいなヒーラーを目指しているんだ」


「そっか。目標があるって素晴らしいね」


「君変わってる?」


「え?」


カナタくんの言葉に僕は首を傾げる。


「テイマーの素質があるのならそれを目指せばいいって言う人多いよ」


「素質とやりたいことは別問題じゃないかな?」


「……君はいいやつだね」


何故かカナタくんの評価ががあがった。


「ほら、そこの君たちもご飯を食べてくださいな」


ハラペコクリスティーヌさんがそう言って焼肉丼を僕たち3人に渡してくれた。


もちろんドラゴンの肉……

爬虫類。


美味しいんだけど。


爬虫類。


少し抵抗があるね。


でも美味しい。

美味しいけど泣けてくる。


「お口に合いませんでしたか?」


ハラペコクリスティーヌさんが声をかけてくれる。


「いえ、誰かとご飯を食べるの何年ぶりかな?と思って……」


「ソラ……」


シエラさんが目をうるませている。


「……」


「ソラ。

 お前はこれからどうするんだ?」


「え?」


何も考えてなかった。


このまま清空さんに保護されると思ったけどそれは都合が良すぎるよな。


「みなさんは、どうしてるのですか?」


僕は、質問に質問に返してしまった。

ダメなことだ……


「私とかみさまは、このままぶらり旅」


万桜さんが答えてくれた。


「僕とアイも修行の旅を続けるかな」


「私たちは孤児院に戻って子どもたちにご飯を作らないと」


清空さんがそういった。


「私はお腹を空かせている人たちにご飯を提供する旅をします」


みんな目的がある。


僕はどうしようかな。

なんかこの世界をぶらりと旅をするのも悪くないかな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る