第13話 ハラペコクリスティーヌ参上!

「そういうことでしたか……

 なら私、ハラペコクリスティーヌが一肌脱ぎましょう!」


女性がそういうと清空さんが驚いている。

丹歌くんの目に光が指す。

シエラさんがソワソワしている。

万桜さんが何処からか色紙を取り出した。


すると神様が言う。


「万桜、色紙を持ってどうするつもりだ?」


「えっとサインがほしいなって思って……」


するとかみさまが得意げに言う。


「甘いな……」


「なによ!かみさまもファンじゃないの!」


「そうではない万桜。

 色紙だけではサインは貰えない」


「お金がいるの?」


万桜さんの目が潤む。


「私はお金いりませんよ?」


「そうではないのです。

 クリスティーヌ殿」


「ん?」


みんなが首を傾げる。


「ペンが無ければ字は書けぬぞ?」


かみさまがそう言うと万桜さんの顔が明るくなる。

かみさまは華麗にペンをカバンから取り出す。


「かみさまナイス!」


シエラさんは、そっとペンだけを拳に握りしめうつむく。


「シエラはペンだけを持っていたのだな」


「だって色紙なんて常備してないし……

 メモ帳にサインしてもらうのも悪いし」


「ふふふふふ……」


かみさまは小さく笑う。


「笑わなくてもいいじゃない」


シエラさんが拗ねる。


「紙だけでも、ペンだけでもサインは貰えない。

 つまり!両方あれば貰えるんだ!」


かみさまは、シエラさんに色紙を差し出した。


準備万端だな。


「ところでハラペコクリスティーヌさんはアイドルなのですか?」


「え?」


ハラペコクリスティーヌさんが驚く。


「え?あ、ごめんなさい」


「料理ネットワークを作った人だ」


焔くんが汗を流しながら答えてくれた。


「焔くんどうしたの?」


「給仕だよ!」


焔くんは、少し怒っている。


「あ、ごめん」


そうだ、僕たちは給仕の最中だった。


「そういうことなら私も手伝っちゃいます!」


ハラペコクリスティーヌさんの目が光る。


そして、あっという間にドラゴンの肉を部位ごとに仕分けた。

凄いね。


結構大きかったのに……


そしてドラゴンの骨を鍋に入れる。


「七つの大罪!はらペコ担当ハラペコクリスティーヌ!

 ここに見参で参上!」


「わああああああ!!」


子どもたちの目が輝く。


「ハラペコクリスティーヌ。

 では手合わせを願おう」


「え?この流れでですか?」


清空さんの目が光る。


「そうだ、栄養料理勝負だ!」


「ほう?」


「ここの人たちの体調は著しく悪い。

 私は科学者で医師の免許も持っている薬師だ」


複雑だな。


「ってことは、ここの人たちにどれだけ感謝されるか勝負ですね!

 って、いいですよ?そんな手を使わなくても……」


「え?」


「私の夢はこの世からはらペコをなくすこと。

 みんな元気で笑顔ニコ!それが七つの大罪の規則です!」


ハラペコクリスティーヌさんはニッコリと笑った。

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