カエデのステータス 2

『最後に、この<イマジナリィ・ネットスーパー>というのが、僕を助けてくれた能力、ですね?』


ステータスボードにタッチしていないのに、スキルの詳細が開かれる。




【イマジナリィ・ネットスーパー】


貨幣、魔力、物々交換、おろしのいずれかを対価として、地球の空想の産物が購入できる。

地球産のカエデの空想の産物もこれに含まれる。




『・・・これは、カエデが創造神クレエ様に願ったスキルですか?』


「違うよ!何度も何度もこんな神がかった能力要らないって言ったのに、この世界に転移したら、持ってたんだよ!!要らないのに!」


半泣きになりながら、ミルクに訴える。

興奮のあまり、神獣様だからと意識して使っていた敬語が消える。


『・・カエデはどのような能力を望んだのですか?』


「創造神クレエ様には、地球とこの世界の経済に支障をきたしかねないからって却下されたんだけど、わたしが住んでいた世界の食べ物なんかをこっちの世界でも買えるスキルが欲しいってお願いしてみたんだよ。ねえ、異世界の食べ物をお取り寄せするより、現実に存在していない空想の産物が手に入るスキルの方が、よっぽどヤバいよね!?それも、空想の産物を創造神クレエ様が創造してくれるっていうんだよ?だったら、最初から創造神クレエ様がこの世界に作り出せばいいじゃん!!人間の手には余る能力過ぎて、持ってるのも怖いよ!!」


やばい。

涙が止まらなくなってしまった。

精神年齢は19歳でも体は8歳。

体に心が引き摺られるって、こんな感じなのか。




*****ミルク視点*****



あのポンコツ創造神様は、こんなになんて重圧を・・・



ぷりぷり怒りが爆発して大泣きし始めたカエデをしっぽで包み込んでから、カエデのステータスボードをちょいちょいっと操作する。


自分のやらかしによってこの世界が破滅に向かっているのを阻止しようとして、無理やりこじつけでこの子にとんでもないスキルを押しつけたのだろう。


【イマジナリィ・ネットスーパー】


貨幣、魔力、物々交換、おろしのいずれかを対価として、地球の空想の産物が購入できる。


カエデが見られるのはここまで。


ここまででも、人が所持するにはあり得ないスキルであることが分かる。

が購入できるってことは、地球なんて関係なく、何でもありってことだ。


スキルの能力も異常だが、今まで誰にも、創造神クレエ様でさえ成す術が無かったこの破滅に向かうしかない状況酷い有様の世界に、この世界に来たての8歳の子どもが、害獣を神獣に戻せてしまうほどのて、この世界の未来に希望の光を灯してしまった。


--- 神獣であるミルクは、更にカエデのステータスボードを操作していく ---




【購入できる商品】


魔法:この世界の無属性魔法(4元素魔法以外の魔法はすべて無属性魔法)として認められる場合のみ、未来永劫使える魔法として習得可。そうでない場合は、この世界に悪影響を与えない限り、1回のみ使用可。同じ魔法を複数回購入することはできない。

使




が神獣に戻れたのは、カエデが魔法の行使者だったからで、に使ったあの魔法は、もう他の神獣には使えないってことか。)




物理:この世界にもいつかはできるであろう物は、おろしを対価として購入可能。

但し、同じものは1度しか購入できない。現状この世界にあるもので再現可能と思われるものは、そのレシピを物々交換を対価として購入することができる。再現できるかどうかは、購入者の努力次第。




(一番の問題は、これだ。これが対価として認められるということが、どういうことか・・・)




おろし

この世界に無いものを創り出す時にアクティブになることがある対価。

ダンジョンに同じものをおろすことを条件に、商標登録レシピ使用料の対価として、おろしたものと同じものを得ることができる。


【購入履歴】


商品名:植物の根が足になって動き回れるようになる薬

対 価:卸

仕入先:魔樹のダンジョン


商品名:上級治癒魔法スクロール ※1度きりの使い捨てスクロール

対 価:卸

仕入先:仕入れ先ダンジョン選定中


商品名:神級解呪魔法スクロール ※1度きりの使い捨てスクロール

対 価:卸

仕入先:現在のこの世界のダンジョンでは仕入れ不可


商品名:上級浄化魔法スキルスクロール

対 価:卸

仕入先:現在のこの世界のダンジョンでは仕入れ不可




(ダンジョンにおろしたものは、この世界に出してはいけないものほど、ダンジョンの人間が到達できない階層に置かれるんだろうな・・「現在のこの世界のダンジョンでは仕入れ不可」か・・・この魔法が卸せないってことは、が有効なままってことか。)


解呪魔法スクロールってなんだよ。んなものが創造できるなら、さっさと俺ら神獣を助けてくれよ。なあ、創造神クレエ様よ。』




--そうすることができなかった創造神クレエの苦悩を、誰も知らない--

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