卒業希望

卒業希望

ここはある高校の3年生の教室。掃除中にバカな男子3人が今日もなにやら話しています。

山下「あーあ、早く卒業してぇなぁ」

佐藤「卒業？卒業ならあとー、5ヶ月くらいでできるじゃん」

山下「バッカお前そっちの卒業じゃねーよ」

佐藤「なんだよそっちの卒業って、他に卒業なんてないでしょ」

山下「これだから佐藤は卒業できねーんだよ」

佐藤「え？、、、あっ！」

山下「フン、わかったか。俺はいち早く卒業したい！」

佐藤「そんな急ぐものじゃないって」

山下「いーやそんな事はない、高校3年生の約98%は卒業済みらしいぜ？」

佐藤「それ有名な迷信じゃない？」

山下「えっ、そうなん？」

佐藤「そうだよ、だからそう焦ったり急いだりしなくても」

門倉「いーや急ぐもんだぞ、キッズ達」

山下「お、お前は！門倉！」

佐藤「ん？ああ、門倉おはよー」

山下「なんだよ！キッズって！ま、まさかお前！」

門倉「お子ちゃま山下でもようやく分かったか、俺は！昨日！卒業してきた！」

佐藤「えっ本当に？！」

山下「ど、どうせうそだろ？！」

門倉「商店街の裏のマッサージ店（意味深）でな！」

佐藤「えっ！あそこに？！」

門倉「ああ、あそこに」

山下「お前何歳だっけ？」

門倉「今月で18歳だ！」

山下「成る程、条件は満たしてやがる！俺たちの中でお前が一番誕生日早いもんな！」

佐藤「お金は？お金はどうしたの？」

門倉「この日のためにバイトした！」

佐藤「すごいよ！必死すぎるよ！門倉！」

山下「くっ、ま、負けたのか、この俺が、」

門倉「まだ卒業出来てない山下キッズは可哀想だなぁ？」

山下「認めないぞ、、、」

佐藤「諦めなよ、、、負けたんだ僕達は、、、」

山下「いや、違う！こいつはマッサージ店（意味深）で卒業した！つまりお金を払って卒業したってことだ！そんなの、そんなの！中退だ！

この中退ヤロー！」

門倉「うるさい！そんなのただの言いがかりだ！中退だからってなんなんだ！」

山下「じゃあなんでそんなに動揺しているんだ！」

門倉「ど、動揺なんか、」

佐藤「相手の人が好みじゃなかったとか？」

門倉「なぜそれを！」

山下「でかした、佐藤！」

門倉「くっ、勝った気になるのもいいが、だからなんだというんだ！」

山下「好みは大事だぞ？門倉。太ってたか？老けてたか？それとも、不細工だったか？」

門倉「黙れ黙れ！」

山下「さしずめお前は、妥協中退ヤローだ！」

門倉「ぐっ」

山下「妥協中退ヤローの負けー！！」

佐藤「酷い悪口だ」

山下「こいつが妥協するのが悪いんだよ！」

門倉「うるせー未卒業！」

山下「なんだとこのヤロー！」

門倉「テメーには、中退もできねーよ！」

山下「妥協してまでしたいと思わねーよ！」

山下と門倉が暴れていると、離れて掃除していた女子の渡辺が近づいてくる。

渡辺「アンタら掃除中になにやってんの？」

山下「げ、渡辺」

渡辺「わるかったわね、私が来て」

門倉「そーだそーだ、悪い悪いー」

渡辺「あ？」

門倉「すいません」

山下「でも男にとってすっごーく大事な話をしてたんだよ！」

渡辺「ふーん、大体アンタらが何話してたか聞かなくても分かるけどね、どーせろくでもない事でしょ？」

門倉「ろくでもなくなんかない！俺たちにとって、、、」

渡辺「あ？」

門倉「すいません」

渡辺「佐藤君もこんなやつらと関わってちゃだめよ？」

佐藤「うん、ありがとう。渡辺さん」

渡辺「じゃ、ちゃんと掃除しなさいよ」

渡辺はそう言うと離れていった。

山下「おい、佐藤。なんで鼻の下伸ばしてんだよ」

佐藤「の、伸びてなんかないよ！」

門倉「なんか赤くなってないか？」

佐藤「なってない！」

山下「お前まさか渡辺の事」

佐藤「、、、」

山、門「あー」

門倉「やめとけやめとけアイツは暴力女だぞ？」

山下「すぐ俺達をイジメてくるしなぁ？」

佐藤「でも、いつも真面目だし、たまに優しいし、、、」

山下「うわ、マジかよ佐藤」

門倉「ヤバいな佐藤」

佐藤「うるさいよ！」

門倉「おい山下ーちょっとこい」

山下「ん？」

門倉「あのな、こういうやつが一番に、卒業するんだぜ」

山下「あー分かる、抜けがけしそうだもん」

佐藤「何話してるんだよ！誰が好きだっていいじゃないか！」

山下「はいはい、分かった分かった。暴力女とイチャコラやってろこの裏切りもの！」

門倉「本当は俺たちの事、見下してたんだろ！」

佐藤「いやそんな事はないけど、」

門倉「けど？」

佐藤「中退はやだな、って」

門倉「ウワーン！」

山下「おい！言っていいことと悪い事があるぞ！」

佐藤「ご、ごめん。こんなに泣くとは」

山下「いーけないんだ、いけないんだ、暴力女に言ってやろー」

渡辺「その暴力女って誰の事言ってるの？」

山下「ヒッ、ヒィィｨｨーー！！出、出たー！！いつの間にそこに！」

渡辺「おい、アンタらさっき言ったばっかだよね？真面目に掃除しろって」

門、山「は、はい」

渡辺「知っててやってんの」

門、山「申し訳ありません（土下座）」

渡辺「だからアンタら「「童貞」」なのよ！」

門倉「カンケーないだろーー（泣）」

門倉も山下も泣き出してしまう。

山下「でもお前だってしたことないんだろ！」

渡辺「いや、私彼氏いるし」

佐藤「ウワーン！！！」

門倉「佐藤ー！！！」

渡辺「まあなんでもいいけど真面目に掃除しなさいよ？次は殴るから」

そう言うと渡辺は掃除に戻る。

門倉「佐藤、なんかごめんな」

佐藤「ウゥ、グスッ」

山下「門倉、佐藤、俺決めたよ。将来金持ちになってモッテモテになる」

門倉「あぁ、俺もだ」

佐藤「僕も」

山下「、、、この世の女、皆んな渡辺みたいなのかな」

門倉「それは考えるのやめようぜ」

山下「ああ」

（完）