30になったら結婚しよう 3人用台本

ちぃねぇ

第1話 30になったら結婚しよう

登場人物

女:村岡秋穂。健太のことが好き。

男:沢田健太。秋穂と同じ30歳。

先生:堀直人。実は二人と同じ30歳で、健太の大学時代の同期。




女:(M)ある日突然、幼馴染が言い出した


男:なあ、保険掛けとかね?

女:保険?

男:そ。30までお互い独身だったら結婚しようぜ

女:いきなりどうしたの?

男:職場の先輩が言ってたんだよね、結婚してから営業ノルマが楽になったって

女:え、そんなことある?あー家族の為なら頑張れるってやつか

男:そう言うんじゃなくて、単純に信頼されるんだと。左手の薬指光ってるだけで「結婚出来てるまともな人」っつーポイントが加算されるようになったって

女:あー…わからなくもない。なんかわかんないけど一定の安心感あるよね

男:指輪して不倫してる奴なんてごまんといるのにな

女:確かに

男:まあとにかく、生きてる上で「結婚してる」って事実はメリットだらけなんだよ。税制面でも控除入って来るし。あと単純に、人間が二人一緒に暮らすなら本来掛かるはずだった2軒分の家賃が1軒で済む。これだけでもかなりお得じゃね?

女:あー…賃貸ならそうだし、もし家を購入ってなったら二馬力の方が楽よね、間違いなく

男:二馬力で働けるんならローン審査も強気でいけるしな

女:そう考えると二人ってお得ね

男:だろ?幸い俺は男で秋穂は女、結婚っていうありがたい制度を使わない手はないと思わないか?

女:ちょっと打算的すぎる気もするけど

男:だから、お互いにいい人がいなかったらの話だって。残り3年、お互いフリーのままだったら結婚しようぜ。同じ誕生日に生まれた者のよしみでさ

女:なにそれ

男:だって奇跡的な確率だろー?

女:まあねぇ…いいよ、わかった

男:マジ?

女:うん、いいよ。二人とも売れ残ってたら結婚しよう。約束

男:よっしゃ、約束な!




0:3年後


女:(M)ずっとずっと大好きだった人にこんな形で結婚という提案をされて、あの時の私は内心すごく複雑だった。だけど幼馴染っていう安全地帯にいながら、健太を手に入れられるかもしれない未来はすごく魅力的で、断る理由なんてどこにも無かった

女:明日で私、30歳なのにな…

女:(M)数か月前一緒に食事をした時にはそういう話は上がらなかったから、多分健太はフリーなんだろう。もちろん、彼に恋している私も。だから、あの口約束を彼が忘れていなければ、私たちは明日、同じ未来を見つめて歩き出すはずだった。なのに




0:数時間前、病院にて


先生:慢性腎不全(まんせいじんふぜん)、ですね

女:慢性腎不全

女:(M)最近身体の調子がおかしかったから近所の内科を受診したら、なぜか大きな病院を紹介され、あれよあれよという間にいろんな検査を受けさせられ、結果

先生:村岡さんの腎臓はもはや機能していません。もう少し早く発見できれば、まだ手はあったのですが

女:私の腎臓、もう動いてないんですか

先生:はい、残念ながら

女:治らないんですか?

先生:現在の医学では、慢性腎不全は一度発症すると完治はありません

女:完治がないって…あの、私これからどうしたらいいのでしょうか

先生:村岡さんの取れる手段は2つあります。人工透析か移植手術、このどちらかです

女:透析…言葉では聞いたことがありますが、それってどういう

先生:弱った腎臓の代わりに、人工的に血液中の老廃物(ろうはいぶつ)や余分な水分を取り除くんです

女:それって入院とかするんですか?

先生:いえ、入院は必要ありません。ただ、週に3回ほど病院に通院いただく必要があります。透析には一回4時間ほどかかりますから、職場の方のご理解を得てください

女:そんなに…そんな…あの、透析をしなかったらどうなるんですか

先生:命の補償はできません

女:そんな

先生:水分、塩分の排出が出来ないので、肺に水がどんどん溜まって呼吸困難を起こしたり、あるいは、ありとあらゆる合併症(がっぺいしょう)のリスクが跳ね上がりますから…最悪、余命と言う言葉を使うしかなくなるでしょうね

女:余命って…

先生:透析をしながら、臓器を提供してくださるドナーが現れるのを待ちましょう。今、村岡さんができることはそれが全てです。ドナーが見つかり次第、移植手術を行います

女:ドナー…

先生:運が良ければ早く回ってくるかもしれません

女:早くって、どのくらいですか?ドナーってそんな簡単に見つかるものなんですか

先生:正直難しいです。透析しながら提供を待っておられる患者さんは全国でおよそ14000人。…平均で皆様15年ほど待っておられます

女:15年…

先生:治療を続けながら根気よくドナー提供を待ちましょう。幸い、村岡さんはまだお若い、気を確かに持ってください

女:は、い

先生:ちなみに村岡さんは、ご家族の方はいらっしゃいますか

女:あ、母が一人

先生:ご年齢は?

女:確か73です

先生:73…ほかにご兄弟は?お姉さんやお兄さんなどはいらっしゃいませんか

女:私は一人っ子です

先生:そうですか

女:あの、それが何か

先生:失礼、腎臓はご家族からの提供でも大丈夫なので

女:あ、そういう

先生:ですが、73となるとかなりギリギリで…お母様と一度よく話された方がいいと思います

女:わかりました

先生:ちなみに村岡さんは現在、独身でいらっしゃいますね?

女:はい

先生:お付き合いしている方はいらっしゃったりしますか?

女:え?

先生:臓器提供は親や兄弟からだけでなく、配偶者からも受けることができるんです

女:え、血縁者じゃないのに大丈夫なんですか

先生:おっしゃる通り、以前はHLA抗原や血液型などの組織適合性の問題で血縁者以外の移植は難しいとされてきましたが、近年の免疫抑制剤の進歩のおかげで、数年前から配偶者からの臓器提供も可能になったんです

女:そう、なんですね…

先生:もしお付き合いされている方がいらっしゃるなら、その方ともよく話し合ってみてください

女:わかりました…




0:翌日、ホテルにて


女:(M)付き合ってる人はいないけど、互いの利益のために結婚の口約束をした人がいるって答えたら、先生はどんな反応をしたんだろう

男:誕生日おめでとう、秋穂

女:…おめでとう、健太

男:いやー俺らもついに30歳か~実感ねぇわ~中身はまだまだ子供なんだけどなー

女:そうだね

男:にしてもすごい腐れ縁だよな~家が隣同士でおんなじ日に生まれて、小中高とおんなじ学校通って

女:そう、だね…

女:(M)健太は知らない。私が、健太と同じ高校に入りたくて猛勉強したことを。もうちょっと数学ができたなら理系選択もできたけど、流石にそれは無理で

男:流石に大学は離れたけどさ、こうして一緒に30歳の誕生日を迎えてさ。いやーすげーわマジで

女:ほんとだね

男:…あのさ

女:なに?

男:秋穂、あの約束覚えてる?

女:約束

男:なんだよ、忘れたのか?お互いフリーだったら結婚しようって言ってたじゃん!あれ、まだ有効?

女:あ、ええと

男:俺的には秋穂とだったらいいかなって本気で思ってるんだけど

女:…ごめん

男:なんだよ、本気で忘れてたのか?

女:そうじゃなくて…ごめん

男:それは…俺とじゃやっぱ、結婚なんて考えられないってこと?

女:そうじゃなくて

男:じゃあ、なんで

女:…いい人ができたの

男:え

女:私、今好きな人がいるの

女:(M)目の前に

男:…へぇ、そうなんだ。いつから?前に会った時はそんなこと言ってなかったじゃん

女:つい最近で

女:(M)嘘。20年以上、あなたを想ってる

男:なんだよーだったらもっと早く言えよなー

女:ごめん

女:(M)言えるわけ、ないじゃん。今となっては絶対に

男:なんで謝んだよーまるで俺がフラれたみたいじゃんかー

女:違くて

男:どんな奴?

女:え?

男:お前の好きなやつ、どんな奴なの

女:(M)私の好きな人は…

女:優しい人だよ

男:それから?

女:すごく明るいかな。自然と人を引き寄せるって言うか

女:(M)健太はいつも、クラスの中心にいた。足が早くてかっこよくて、絵に描いたような人気者。だけど偉ぶったりせずに、どれだけ大きくなっても「秋穂、帰ろう」と私の手を引いて一緒に帰ってくれて

男:なによそれ、いい男なんだ?

女:うん、すごくいい人

女:(M)ずっとずっと、好きだった。健太だけが、大好きだった。健太が結婚するまではきっと、ほかの人なんて探せないと思った。なのに、3年前にあんな約束しちゃって、ほかの人なんて探せるわけもなくて

男:じゃあ、よかったな

女:…うん

女:(M)もし、健太に同じことを言われたら、私は笑って「よかった」なんて言えただろうか

男:うまくやれよ、応援してる

女:あり、がと

女:(M)応援してる、なんて…口が裂けても言えなかっただろうな




0:数日後、居酒屋にて


男:(M)多分俺は、自分が思ってる以上に秋穂のことが好きだったんだと思う

男:くそっ…今頃になって気づくなんて…遅すぎるだろバカ


0:先生(健太の大学時代の友人)登場


先生:わりー、遅くなった

男:おせーよバカっ!

先生:わ、なんだよいきなり。遅れるって連絡したろ?

男:そっちじゃなくて

先生:なんだよ、もう出来上がってんのか?(店員に)すみません、ウーロンひとつ

男:…飲まねぇの

先生:今日当直の先生、新人なんだよね。なんかあった時のために動けるようにしときたいんだわ

男:先生様は大変だな

先生:なんだよ、今日はやけに絡み酒だな

男:絡みたくもなるっての!あーもう!

先生:どしたどしたー

男:…フラれた

先生:あん?あー結婚の約束してた例の幼馴染に?

男:そうだよ

先生:だからさっさと告りに行けって言ったんだよ。なーにが「30までフリーだったら結婚しよう」だよ

男:傷口広げんなよ!縫うのが医者の役目だろ!

先生:あのさぁ、何度も言ったろ?普通に明日があると思うなって。事故とか病気とかある日突然やってくるんだから、待ってないで手に入れに行けって。そんな結婚の約束OKするような幼馴染なら、告ったら絶対OKだったろ

男:フラれたらどうすんだよ

先生:知らん

男:おま、無責任だろ

先生:他人の恋路に責任なんか持てるか。大体な、玉砕する覚悟もねぇのに人なんか好きになるほうが悪いんだっつの

男:なんだよそれ。覚悟がなかったから手ぐすね引いて待ってたんだろうが

先生:その結果あっさり逃げられたと

男:だから!傷口広げんじゃねーよ

先生:だったら絡み酒なんかしてくんじゃねーよ!

男:なんだよ、今日はいつになく冷てぇじゃねーか

先生:…あのなぁ、俺らと同じ歳なのにもう透析始めなきゃならん患者さんだっているんだぞ。お前は五体満足健康体だろうが、それだけで贅沢なんだよ。しゃきっとしろ、しゃきっと

男:そんなこと言ったって

先生:あーほれ、今度ナースとの合コン誘ってやっから

男:俺は…秋穂がいいんだよぉ

先生:秋穂?

男:ん、どうかしたのか

先生:いや、別に

男:なんだよ、秋穂がどうかしたのかよ

先生:いや…俺が受け持ってる患者さんにも確かそんな名前いたなーって思っただけだよ。別に珍しい名前でも何でもないしな

男:村岡秋穂

先生:え

男:秋穂の苗字、村岡って言うんだ

先生:…へぇ

男:もしかして、その患者って秋穂のことじゃ

先生:別人だ

男:直人!お前今目ぇそらしたろ!

先生:はぁ?

男:お前は昔っから痛いとこ突かれると目ぇそらす癖があんだよ!

先生:なっ

男:まさか、秋穂お前の患者なのか?

先生:違うよ

男:直人!

先生:ああもう!守秘義務!個人情報!言えるわけねぇだろ突っ込んでくるな!

男:秋穂、お前の病院通ってんのか

先生:健太、いい加減にしろ

男:あいつ、好きなやつが出来たって…まさかそれ、お前なのか

先生:はぁ?

男:だってお前医者だし、優しいし明るいし

先生:なんなんだよ藪(やぶ)から棒に、気持ち悪いな

男:いや、優しいは訂正されるべきだけど

先生:お前なぁ

男:俺、直人に負けたからフラれたのか

先生:落ち着け健太

男:ずっとずっと好きだったのにっ!ぽっと出の医者なんかに奪われんのか?製薬会社の人間じゃ所詮(しょせん)、医者には勝てねぇってことなのか?

先生:落ち着けって

男:俺のほうが何倍も秋穂のことが好きなのに!この気持ちだけは誰にも負けねぇのに!

先生:落ち着けって!村岡さんのあの状態で、医者に恋してる余裕なんてあるわけねぇだろ!?

男:え

先生:あ

男:今、なんて?

先生:今のなし、忘れろ

男:やっぱり秋穂、お前の患者なのか?

先生:違う

男:秋穂、結構重病人なのか?

先生:別人だ

男:直人!

先生:別人だから

男:直人っ!

先生:っ守秘義務!これ以上は喋らん!帰るっ

男:直人っ!!


0:先生退場。


男:どうなってんだよ…




0:2日後、女の家のチャイムが鳴る


女:はーい、どなた…あ

男:…よぉ

女:…珍しいね、家に来るなんて。どうしたの?

男:上がっていいか

女:いいけど…


0:リビングにて


女:どうしたの?突然

男:秋穂、お前どっか悪いのか

女:え

男:お前病院に通ってるんだろ

女:あー…お母さんに聞いたんだ

男:……

女:たいしたことないよ

男:病名は?

女:え

男:病名

女:あー…えっと…ごめん、言いたくない

男:言えよ

女:健太

男:言って。お前の病名、何

女:……慢性腎不全(まんせいじんふぜん)

男:それって

女:ああでも大丈夫!薬で何とかなるから

男:なるわけねぇだろ!お前、俺が製薬会社で働いてるの忘れたのか!?

女:あ…

男:だから、断ったのか

女:え

男:結婚しようって約束。だから断ったのか

女:…………そうだよ

男:なんで言わねぇんだよ、病気になったこと

女:なんでって

男:なんでそんなでっけぇこと一人で抱え込むんだよ!俺、そんなに頼りねぇのか

女:違っ

男:じゃあなんで

女:だからそれはっ……言えるわけないじゃん

男:だからなんでだよ!小さいころからずっと一緒だったろ!なんでも話してきた仲だろ!?

女:だからっ…だから…!

男:(ため息)わかった。じゃあ、話を変える。今、お前に、好きな奴なんていないんだな

女:え?

男:いるっつって約束なしにしたよな。実際、いないんだろ、好きな奴なんて

女:あ、それは

男:…いるのか

女:いや、いるって言うか

男:いるのかいねぇのかはっきりしろよ!

女:だからっ…!あーもう…(涙声で)だからっ…

男:なんだよ…なんで泣くんだよ…

女:私が好きだったのは…あんたよ…

男:え…

女:っ…答えたんだからもういいでしょ!帰って!

男:秋穂っ

女:帰って!

男:秋穂っ!

女:…帰ってよぉ…帰ってよぉぉ

男:帰らない

女:なんでよ…なんで……

男:…

女:だからやだったのよ

男:え?

女:こんなこと言ったら、絶対重荷になるじゃんかぁ

男:秋穂…

女:健太は優しいから、こんな病気の私でも絶対見捨てられないから、だから、だから言いたくなかったのに

男:…

女:(わざと明るく)好きだなんて、嘘。冗談。だからね、健太は何にも気にせずに帰って。それでまた、ただの幼馴染に戻って

男:いやだ

女:健太

男:いやだ…やだよ。今更何もなかった幼馴染になんか戻れねぇよ…戻りたくねぇよ…!やっと、やっと両思いになれたのに

女:健…太?

男:秋穂、結婚しよう

女:何、言って

男:お前が好きだ、秋穂

女:嘘

男:嘘じゃない

女:だって、売れ残ったら結婚しようって

男:あんなの、詭弁(きべん)だ。この関係が壊れるのが怖くて、だけど一緒にいたくて…心のどっかでお前はどこにも行かないって楽観視してたから…(ため息)バカだよなぁ、俺。人なんていつどこにふらっと消えるかわかりゃしないのに

女:健太

男:勇気がなくてごめん、ずっと言えなくてごめん。ずるい方法で待っててごめん。お前が好きだ秋穂、小さい頃からずっと、お前だけが好きだった。だから…結婚しよう

女:結婚って…私、こんな病気になって

男:病気でも何でもいい。お前が好きなんだ、秋穂

女:…足手まといになりたくないよ

男:なんだよ、足手まといって

女:慢性腎不全だよ?私、週に3回も病院に拘束されて透析生活しなきゃいけないんだよ?それのせいでお給料だってガンと減っちゃうし

男:だろうな

女:だろうな、ってそんな簡単に

男:軽い気持ちで言ってるんじゃない

女:この生活、ずっと続くんだよ?死ぬまで続くんだよ?

男:…

女:健太言ったじゃない、2人ならお得だって

男:言ったな

女:でも、私とじゃ全然お得になんないの!結婚したって全然いいことなんかなくて

男:お得だよ

女:なんでよ

男:お前といられるだけで、お得だよ。儲けもんだよ

女:健太…

男:それに、結婚することでできることがある

女:できること?

男:お前に腎臓をあげられる

女:っ…

男:俺の腎臓、お前にやれる

女:それって…

男:適合するかはまだわかんないけど…でも、試す価値はあると思う。ほら、俺って無駄に元気だし。俺の腎臓もおんなじくらい元気だといいけど

女:健太それ、わかって言ってるの?腎臓あげるって…健太も手術受けるってことだよ?

男:ああ

女:病気でもないのに切られちゃうんだよ?後遺症だって残るかもしれないんだよ!?怖いでしょ!?

男:そりゃ怖いよ!怖いけど…秋穂がどっか行っちまう方がよっぽど怖いんだよ

女:健太

男:秋穂が俺に全部隠して、独りで抱え込んだままどっか行っちまう方がよっぽど怖いよ…お願いだから、そばにいてくれ。勝手にいなくならないでくれ

女:っ……(鼻すすって)健太

男:秋穂、好きだ。俺と結婚しよう。全部全部支えっから、頷いてくれ

女:ばかっ…ばかだよっ…ばかだよ健太は

男:うん、バカでいい。お前が好きだ

女:(号泣)

男:結婚しよう、秋穂

女:…うん…うんっ、ごめん健太

男:ごめんじゃない。好きだって言ってくれ

女:…好きだよ、大好きだよ、健太

男:俺も。愛してる




0:数日後


先生:こんにちわ、村岡さん

女:こんにちわ、先生

先生:調子はどうですか?

女:相変わらずです

先生:そうですか。…ああそうだ、僕どうしても村岡さんに謝らなきゃならないことがあって

女:え?

先生:実はその


0:男登場


男:悪い、遅れた

女:ううん、大丈夫

先生:え…健太?

男:よぉ、直人

女:あれ、二人は知り合いなの?

男:まあな

先生:えっと、これはどういう状況で…?

女:あの、先生。実はお話がありまして

先生:はい、なんでしょう

女:私、結婚することになったんです

先生:え

女:なので今度の受診時には村岡から沢田になってると思います

先生:沢田って…え…(健太を見て)お前

男:そういうこと

先生:…ずいぶん急展開だな

男:まあな

先生:…そうか。まあ一応、おめでとうございます、かな

男:ありがとうございます

女:…?あ、あのそれでですね

先生:(女に向き直って)あ、はい

女:その…彼が…夫が、臓器提供を申し出てくれて

先生:え

女:もちろん、リスクとか全部聞いたうえで判断してほしくて、だから付いてきてもらったんです

先生:ああ、そういう

男:俺と妻の命を預けますよ、先生

先生:…なるほどね、これは責任重大だ

男:お前になら任せられる。俺と秋穂を頼んだ

先生:全力を尽くすよ

女:それで、二人はどういうお知り合い?

先生:ああ、ただの悪友ですよ。な?

男:ああ、そうだな

先生:(笑って)改めまして。沢田さん、ご結婚おめでとうございます。どうか幸せになってくださいね

女:はいっ

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30になったら結婚しよう 3人用台本 ちぃねぇ @chiinee0207

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