アインウントツヴァンツィヒ 過度な危険は冒さない情報収集

「御疲れ様でした。フロリアーヌ女史」


「御気遣い頂きまして、心底よりの御礼を申し上げます。騎士シュヴァリエ様」


衛兵隊の隊長が立ち去れた後に、フロリアーヌ女史の耳元に口を寄せてささやき声でねぎらいますと。


「見せ付けてくれるな」


「あれだけの美少女なら気持ちは解るけれどな。俺達も行こうぜ」


「ああ。そうするか」


衛兵隊の隊員達も隊長の後に続いて、賭場シュピーラー・ヘレの奥へと姿を消しました。


「あのまま隊長様の同伴者として、共に奥へと連れて行って欲しいと御願いをするべきでした」


フロリアーヌ女史が、美しい瑠璃之青アツーア・ブラオの瞳で賭場シュピーラー・ヘレの奥の方を眺めながら、仰られましたので。


「御気持ちは解りますが、いささか危険過ぎますフロリアーヌ女史。今宵は衛兵隊が賭場シュピーラー・ヘレにて、俸給ほうきゅうだけでは明らかに無理な賭事を行い、奥にて誰かと密会している確認を行えただけで、収穫としましょう」


自分の言葉にフロリアーヌ女史は、美しい金髪ブロンデス・ハールを揺らしながら素直に同意をされまして。


「はい。騎士シュヴァリエ様。灰色グリザイユさんが、賭場シュピーラー・ヘレの従業員か常連客の方から、役立つ情報を入手されていられる可能性もありますから」


十代後半の画家志望でもある芸術家の卵のグリザイユ君は、自分達とは別行動で情報収集を行っています。

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