ズィープツェーン 疑われない為の目眩まし

シナリッ、シナリッ、シナリッ。


『本当に飲み込みが速いですわね。魔法使マーギアーい殿の歩き方は、淑女マドモアゼルにしか見えませんわ♪』


満面の笑みを浮かべられていられます、伯父上の御息女であらせられる御嬢様の御言葉に対して。誰がどう見ても金髪ブロンデス・ハール瑠璃之青アツーア・ブラオの瞳をされていられる、十三歳の絶世の美少女にしか見えない傭兵ゼルドナー殿は、恭しく深々と御辞儀を行われまして。


『御指導と御鞭撻ごべんたつを賜りまして、心底よりの御礼を厚く申し上げます』


伯父上の御下命ごかめいにより、背格好せいかっこうが同じ御嬢様の御召物おめしものを着用なされた、淑女マドモアゼル…、傭兵ゼルドナー殿に対して。御嬢様が歩き方の御指導をなされましたが、傭兵ゼルドナー殿は直ぐに習得なされました。


『御父様から、賭場シュピーラー・ヘレへの出入りを禁止されているのが残念でなりませんわ。絶世の美少女でもある淑女マドモアゼルを、他の殿方に御自慢をする為だけに伴われたと誤解をされる従兄殿に対して、賭事に興じていられた殿方達が、どのような嫉妬と羨望せんぼうの眼差しを向けられるのか、実際に見てみたかったですわね♪』


御嬢様が仰られる通りに、金髪ブロンデス・ハール瑠璃之青アツーア・ブラオの瞳をされている絶世の美少女にしか見えない淑女マドモアゼル…、傭兵ゼルドナー殿を伴い賭場シュピーラー・ヘレを訪れれば。内偵ないてい捜査が目的だとは誰も考えないと思われます。

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