ゼヒツェーン 悪意の無い御嬢様

『本当に良くお似合いですわ♪。従兄殿もそうは思われませんかしら?』


『は、はい。御嬢様。自分の想像を遙かに上回る美しさです』


伯父上の御息女であらせられる御嬢様が、御自身の御召物おめしものを貸される淑女マドモアゼル…、傭兵ゼルドナー殿にいたく興味を持たれまして。湯浴みを済まされた後に傭兵ゼルドナー殿が、城館にて働く侍女により召し替えさせられる様子を御覧になられましたが、非常に御満悦のていを示されていられます。


魔法使マーギアーい殿が平民身分なのが残念でなりませんわ。奴隷身分でしたら、御父様に御願いをいたしまして、私専属の着せ替え人形として手元に置く為に購入をしましたわ♪』


満面の笑みで話される御嬢様に対して、傭兵ゼルドナー殿は淑女マドモアゼルの装いにて、恭しく深々と御辞儀を行われまして。


『身に余る勿体ない御言葉で御座います』


御嬢様には悪意は御座いませんが、平民身分の傭兵ゼルドナー殿が気を悪くされた様子が無くて安心をしました。


『お帰りになられましたら、お話を聞かせて下さいね。魔法使マーギアーい殿♪』


『はい。御約束をいたします』

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