フィアツェーン 天から素質を授からなかった分野

『それでは今宵の再会を楽しみにしています。魔法使マーギアーい殿♪』


『はい。解りました』


伯父上が御治めになられていられます城下町にある賭場シュピーラー・ヘレの近くにある飲食店ガスト・シュテットにて、今宵再び合流する約束をした画家志望の若者が、笑顔で散策公園ルストガルテンから立ち去りました。


『私が中性的な容姿をしている男性だと承知をした上で、ご自身が描く絵の画材とする為に便宜を図る人物は初めてです。騎士シュヴァリエ様』


傭兵ゼルドナー殿が美しい瑠璃之青アツーア・ブラオの瞳で、遠ざかる画家志望の若者の背中を見送りながら感想を述べられましたが。芸術家の卵の思考方法を不思議に感じる点では、自分も完全に同感です。


『自分も絵心はありませんから、芸術家の卵の考え方は解りません』


自分の返答に対して傭兵ゼルドナー殿は、楽し気な笑みを浮かべられまして。


『私にも絵心はありません、騎士シュヴァリエ様。根元魔法を学んでいる、帝国自由都市リューベックにある叡智ヴァイスハイト学園には、絵画の講義もありますけれど。芸術に関する素質は天から授からなかったので、受講はしていません』


傭兵ゼルドナー殿が学ばれている叡智ヴァイスハイト学園には、根元魔法以外にも様々な講義があるようです。

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