ツェーン 自分とは同年輩の城下町で暮らす若者

「独りかな?。可愛らしい金髪ブロンデス・ハールのお嬢さん♪」


「申し訳ありません。屋台で飲物を購入されている御方を待っています」


予想通りというべきでしょうか。急いで屋台で飲物を購入して、散策公園ルストガルテンの長椅子に腰掛けて待ってもらっている淑女マドモアゼル…、傭兵ゼルドナー殿のもとに向かいますと。十代後半の若者が声を掛けていました。


『お待たせしました』


『有難う御座います。騎士シュヴァリエ様』


傭兵ゼルドナー殿が自分の身分を告げますと、十代後半の若者は頭を下げまして。


『失礼しました。騎士シュヴァリエ様の御連れ合いの淑女マドモアゼルとは知りませんでした』


城下町で暮らす平民身分の領民だと思われる、十代後半の若者に対して自分は首を横に振りまして。


『気持ちは自分も解ります』


美しい金髪ブロンデス・ハール瑠璃之青アツーア・ブラオの瞳をされている傭兵ゼルドナー殿が、お一人で散策公園ルストガルテンの長椅子に腰掛けていましたら、自分でも声を掛けると共感を示しますと。同年輩の十代後半の若者は安堵した笑みを浮かべまして。


『有難う御座います。騎士シュヴァリエ様♪』


チラッ。


長椅子に腰掛けていられる傭兵ゼルドナー殿は、美しい瑠璃之青アツーア・ブラオの瞳で自分達が話す様子を観察されますと。


騎士シュヴァリエ様に先程購入して頂いた御菓子の詰め合わせですけれど、二人だけで食べるには少し多いかと思われます』


成る程。城下町で暮らす住民から、御菓子を食べながら世間話を装い、情報収集をするべきではないかと、傭兵ゼルドナー殿は提案されました。


『長椅子には三人座れるので、良ければ一緒に食べませんか?』


自分の誘いに対して若者は、嬉しそうに笑みを見せまして。


『有難う御座います騎士シュヴァリエ様♪。俺…、いえ、私も、屋台で飲物を買って来ます』

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