フィーア 二人きりでの外出

『非常に美味しい紅茶です。騎士シュヴァリエ様』


金髪ブロンデス・ハール瑠璃之青アツーア・ブラオの瞳をされている、絶世の美少女の淑女マドモアゼルにしか見えない十三歳の傭兵ゼルドナー殿が。可憐な笑みを浮かべながら侍女が淹れた紅茶を飲まれている様子を眺めていますと、自分も自然と口元がほころび笑みが浮かびまして。


『伯父上の御正妻であらせられる男爵バローン夫人様が、茶葉には拘る御方ですので。当家への出入りを許している資本家ブルジョアなどの御用商人は、納入する茶葉の品質には常に細心の注意を払っています。傭兵ゼルドナー殿♪』


自分による説明を聞かれた傭兵ゼルドナー殿は、茶器をティッシュに置いてから頭を下げられまして。


『左様で御座いましたか。御教え頂きまして、心底よりの御礼を申し上げます。騎士シュヴァリエ様』


…自分は遍歴へんれき騎士シュヴァリエとして、帝国と近隣諸国で放浪の旅をして来ましたが。傭兵ゼルドナー殿ほどに美しい淑女マドモアゼル。いえ、魔法使マーギアーい殿にお会いした事はありません。


『あー、伯父上からは、御領地内を荒らす不逞ふていやからを討伐するように御下命ごかめいを受けましたが。討伐するには彼奴等きゃつらが根城としている場所を突き止めなければいけません。先ずは城下町の治安維持を担う衛兵隊の詰所に赴きまして、隊長から話を聞こうかと思いますが?』


自分の提案に対して傭兵ゼルドナー殿も同意をされまして。


『はい。御供をさせて頂きます。騎士シュヴァリエ様』


淑女マドモアゼル…、傭兵ゼルドナー殿と二人で出掛ける事が出来ると思いますと、心が湧き立つ思いがします♪。

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