第10話 【金色の粉】

僕は手に持った小さな袋からパウダー状の金色の粉をひとつまみ取り出して、反対の手の平にのせた。

それから、悟くんが遊んでいた『お子様コレクションBOX』に入っていた飛行機や車、ぬいぐるみにいつか流行っていたであろうヒーローもののフィギュア、女の子の人形と女の子の人形のお部屋セット、竹とんぼに駒などを適当に床にならべて、手の平の金色の粉をおもちゃに振りかけた。

「うわぁ〜!!すごい!!ママ、見て!!すごいよ〜!!」

悟くんが興奮した様子でおもちゃを指差した。

金色の粉をかけたおもちゃはそれぞれに動き出した。

飛行機は部屋中を飛び回り、車は部屋の床を走り回り、ヒーローもののフィギュアはお決まりのポーズをとって、パンチやキックを誰もいない空間に繰り出した。

女の子の人形は女の子の人形のお部屋セットで小さな椅子に座って、小さなテーブルに置いてある小さなティーカップを持って、優雅な午後を演出していた。

竹とんぼはクルクルと自由に部屋の中を飛び、駒は他の駒と床の上をクルクル回りながら、時にぶつかりあっていた。

「私、夢でも見ているんですかね?」

そう言いながら、雪さんは子供のようにキラキラした瞳で動き回るおもちゃ達を眺めていた。


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