第8話

「お口に合うかわからないけれど、妻のオリジナルブレンドで作ったハーブティーです。」

僕はそう言うと女性の前にハーブティーを丁寧に置いた。

「ありがとうございます。」

女性は軽く会釈した後、ハーブティーの香りを嗅いで「良い香りですね。」と、言った後、ハーブティーに口をつけた。

フーッ。

女性が気が抜けたみたいに息をもらした。

どこかホッとした女性に僕は

「ここへ来た理由はおばあさまのことだけではないですよね?」

と、聞いた。

僕が視線を男の子の方へと向けると男の子は飛行機のおもちゃを動かして、遊んでいた。

女性が振り向いて、男の子の方を見ると慌てた様子で

「悟!!駄目よ!!やめなさい!!」

と、強い口調で男の子に言った。

男の子は飛行機を動かすのをやめ、悲しそうな顔をして、うつむいた。

僕は女性に

「大丈夫ですよ。ここでは自由に遊ばせてあげて下さい。」

と、声をかけて、男の子の方に歩み寄った。

「悟くん。大丈夫だよ。ここでは悟くんの遊びたいように自由に遊んでいいんだ。」

僕がそう言うと悟くんは僕の顔を見上げながら、驚いた顔をして、

「本当に?」

と、聞いてきた。

僕は「本当に。」と、答えながら、微笑みかけた。

悟くんは飛行機のおもちゃを宙に浮かべて、遊び始めた。

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