第7話

僕に軽く会釈をして、女性は涙をティッシュペーパーで拭きながら、話を続けた。


「その次のシーンは真っ暗な世界でした。気付くと私の身体が金色に光って、近くに男性と女性が倒れているのがなんとなく見えました。その次のシーンに出てきたのはあなたです。陽だまりのように温かい人だと感じている自分がいました。だけど、あなたにはいつも素っ気ない態度をとっている。そんな風に私は思いました。あなたが差し出した名刺のようなものには『陽だまりの家』と、書かれていて、住所と電話番号が書かれていました。それから、私がソファーで寝ているシーンになりました。私の側に金色に光る女性が立っていて、優しく私の頭を撫でていました。そこで私は目を覚ましました。寝ている間に涙が出ていました。私は夢で見た『陽だまりの家』の住所と電話番号を慌ててメモしました。確信があったんです。金色に光る女性は祖母のお母さんで私のひいおばあちゃんだって。」


女性の瞳を見て、僕は静かに頷いた。

そして、また、僕はやかんを火にかけにキッチンへと向かった。

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