第5話

「・・・妻に?子供が?」

思わず、出た言葉を女性に問いかけて、僕は少しだけ頭を巡らせた。

それから、僕は冷静になって、女性に話を聞くために背筋を伸ばして、

「妻に子供がいたことは知りませんでした。妻は僕に若い頃、病気をして子供は産めなくなったと言っていました。」

女性は「そうですか・・・。」と、呟くと妻に会いに来た理由を話し始めた。


「私の祖母は少し前から、体調がすぐれず、眠っているとうなされて『本当のお母さんに会いたい!』と、誰かに懇願しているような寝言を言っていました。それが最近になって、毎晩のようにうなされるようになってしまって。本人に聞いても『覚えていない。』というんです。祖母はちゃんと眠れていないからか日に日に弱っている気さえして、病院に連れて行っても身体のどこにも異常がないと言われるので、どうしていいかわからなかったんです。私の両親は仕事人間で私は幼い頃から祖母の元で育ってきました。だから、祖母が日に日に弱っていくのが心配で、怖くて・・・。」


女性は言葉を詰まらせながら、冷えきった紅茶を口に運んだ。

僕はやかんを火にかけにキッチンへと向かった。

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