第2話

紅茶の香りが漂うリビングのソファーに座り、窓の外を眺めた。

この家を買った時、君が『春に咲く花々で庭をいっぱいにしたい』と、言ったから、庭の真ん中に桜の木を植えて、ブロック塀沿いに雪柳にミモザ、沈丁花を植えた。

空いた場所には君が季節ごとの花々を植えて、世話をしていた。


今年も花々は元気に咲いて、君が一番好きだった桜の花はもうすぐ満開を迎える。

桜の花を眺める時、君はいつも切なそうな顔をしていたけれど、初めて君を見た時からそうだったから、僕は特に気にしたことがなかった。



「・・・っ!」

「悟、勝手に入っちゃ駄目よ!」


「悟!!」


庭と玄関へのアプローチを隔てている垣根越しに慌てている女性の声が聞こえたきた。


気づくと3才から4才くらいだろうか?

小さな男の子が開いた窓から今にもリビングに入りそうな勢いで僕の顔を見て、聞いてきた。


「ひいおじいちゃん?」

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