第6話 ウミガメは旅をする。

 渡り鳥は自分の力で渡るが、ウミガメは海流に乗って旅をする。戻って来れなかったら、どうするのだろうと想わぬでもないが、そのときは、たどり着いたところで産卵するのだろう。


 ところで、岸から離れるほど、生き物は少なくなる。なので、天敵は少なくなる。と同時に、自ら餌の無い砂漠に出向くようなものなのでもある。ところで、ウミガメのこの生存戦略も理由が無い訳ではない。カメは代謝が低いのである。だから、食べ物も少なくてすむ。


 アカウミガメなどは、日本から北米沿岸まで旅すると言われるが、どうも、これは最長のコースということのようである。実際は途中で引き返すものもそれなりにいるらしい。ここら辺は現在調査中というところのようである。


 ところで、カメの甲羅といえば、身を守るためと想いがちである。ただ、進化の歴史上、腹側の甲羅が先にできたことが分かっている。背中側であれば、身を守るためで一件落着なのだが(例えば、進化系統上から見て近いワニは、背中側のみ鱗板骨で守っている)。なので、これも諸説あるも、謎にとどまっている。


 私の推測を述べれば、以下となる。

 まず、カメの平たい体の利点というのは2つ考えられる。

 タイプA:水面に安定して浮いていること。これはワニやカエルを見ても分かる。

 タイプB:水底に沈んだ状態で目立たないこと。これは、エイやヒラメ、カレイなどのタイプ。

 それで、カメを見た人なら分かるが、カメは案外すぐに沈んで行く。ワニやカエルのようにずっと浮いていることはない。なぜなら、肺呼吸以外に、肛門などでも呼吸できるからだ。まあ、ここは妙な下ネタに走らずに、結論をいえば、カメはタイプBであろうとなる。

 そして、この平たい体であるが、デメリットもなくはない。そもそも沈みにくいのである。加えて、水中で流れがあるときはさらなるデメリットが襲うことになる。そう、ひっくり返るのである。

 そして、カメの甲羅はスッポンとの比較から重いことが知られている。

 なんとなく、分かりました? そう、私の推測はカメが水面で呼吸した後――活発に活動する際に、この水面での呼吸は必要になるらしい――普段の生活場所たる水底に素早く戻り、しかもひっくり返ることなく、その姿勢を保ったまま戻るには、腹の方が重いことが重要なんですね。だから、重りとして、腹に甲羅が最初にできたんじゃないかと。もちろん、私は専門家ではないので、ただの想いつきではありますが。でも、こんなことをいろいろと考えるのは楽しいですね。


 せっかくですから、上に出て来たスッポンさんの話を。まずは、甲羅が無いことが際立つが、これは退化して失ったことが明らかになっている。加えて、その嗅覚は犬なみという。確かに彼らの生息域の沼や池は濁っており、視覚よりは嗅覚の世界なのだろう。また、他のカメに比べれば、陸上に出る必要性が少ないゆえ、甲羅をなくしても大丈夫となったと想われる。


 ちなみに、進化系統でいえば、最初にトカゲ(のち、蛇に分岐)が分かれ、次にカメ、次にワニ、次に恐竜や鳥となる。そういえば、爬虫類は食べないなと想っていたが、スッポンだけは例外だ。私自身、食べたことはないし、あえて高価なスッポンを食べたいとも想わないが、やはり鳥に近い味なのだろうか。何にしろ、鳥でいいよ。(うまく第1話につながったかな? 次回はいよいよ最終回。超級山岳などまったく存在せぬまま、ゴールとなります)


参考にさせていただいたWEB情報

・理化学研究所、『ゲノム解読から明らかになったカメの進化

-カメはトカゲに近い動物ではなく、ワニ・トリ・恐竜の親戚だった-』

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