最終話 自然は思考する?
第4話で述べた昆虫の例などを見ると、まさに、自然が考えて様々な種を作り出したように想えないだろうか? ここから更に飛躍して、そこに神を見だすか否かは、人それぞれであろう。
ただ、恐らく、思考というものは、そもそも自然の側にあって、それを生命が取り込んだのである。
それでは、思考の次元はどこにあるのか。現在の物理学は、時空間や物質やエネルギーで説明し、思考については述べない。ただ、思考というか、この世界が法則にしたがうとはする。なら、その法則は、どの次元に存するのか。
例えば、現在の宇宙論であるビッグバン・モデルだと、いきなり時空間が出現する。つまり、その前は、時間も空間も無い。この宇宙そのものが無いのである。ただ、その宇宙は誕生した途端、物理法則にしたがう。普通に考えれば、その物理法則は宇宙が存在する前から存在すべきだとなる。
ここに矛盾がある。今の物理学は、時空を一体不可分とみる。つまりビッグバンより『前の時間』というものが存在しないとなる。ならば、物理法則はこの時空――我々の宇宙――の外側にあるはずとなる。
その外側って、どこ?
謎である。
そして謎は楽しいのである。
私は古いSFファンで、こうした答えの無い謎を考えるのが好きであり、そうして古いSFというのは、しばしば、こうしたことを考えるヒントというか刺激というか、それを与えてくれたのである。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。『真夏の創作祭』があることを知り、急に始めた連載でしたが、書いていて楽しかったです。『真夏の創作祭』は残り2周あるようです。そこで皆様の書いたものを読むのを楽しみにしております。
完
進化 いろいろ――ツール・ド・カクヨミ ひとしずくの鯨 @hitoshizukunokon
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