第30話 直感

「いた! 導さん! 匡さん! 大変です!」

 資料室から出てすぐに慌てた様子の守君に腰を頭突きされ、思わず壁にもたれかかってしまいました。おそらく走ってきた勢いが止まらなかったのでしょうね。

 匡にもされたことがない事に苦笑いするしかないです。

「うわ! ごめんなさい!」

「だ、大丈夫です、よ……それより、そんなに慌ててどうかしたのですか?」

 守君がこんなに慌てることが珍しい。

 匡が報告した研究員が隠していたディスクから何か発見したのかもしれません。わたわたとしていましたが、匡にデコピンをされて落ち着いたようです。そして私たちに見てほしいものがある、と真剣に言ってきました。

「匡さんが上級悪魔になる時の映像に、紅緋がメッセージを残しているんです」

「は? 紅緋が消えたから俺が創られたんだろ? なんでメッセージがあるんだよ」

「研究員が紅緋との約束を破ってたんです。紅緋は上級悪魔を討伐して研究所に戻ってきて、中級悪魔になった匡さんを見て怒ったんです。そして研究員を匡さんに食べさせて上級悪魔にした後、このディスクを作って姿を消したんです」

 まさか記録の裏表紙にディスクが隠されていたとは気づかなかったですね。

 それに紅緋が存在していることも意外です。百聞は一見にしかず、私たちは書斎へ向かいその映像を見ることにしました。

 私が見つけた資料と結びつくモノがあれば良いのですが。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る