第12話 フローチャート

 僕らの仕事は導さんが死神から指示をもらってから始まる。

 指示が来たらすぐに匡さんは現場に向かい、死神と合流してから僕がパソコンでナビをする。そして悪魔を始末して、無事に匡さんが帰ってくれば半分は終わりだ。

 その後は導さんが、匡さんと僕の悪魔始末報告書をまとめて、死神に結果を報告して仕事は完了するのだ。死神の方々は魂の回収に必死な時があるため、僕らが悪魔について報告する必要がある。

 悪魔は環境によって姿や攻撃性などが変わってくることがあるので、この報告書は記録として重要なのだが、正直言って面倒くさい。

「そんなことを言っても、書かなければ伊万里さんのご飯が食べられないですから」

 いつも報告書の提出が遅い僕に、導さんは厳しい。いや、この人は伊万里さん以外には厳しい。すでに提出されている匡さんの報告書を読みながら僕を待つのだが、重い圧力を感じることもある。

「……最近は変な悪魔がいますよね。死に際に匡さんを道連れにしようとする悪魔とか、あまり見ない行動をするやつがいる気がします」

「そういうことを報告書に書いてくれると助かりますね」

 導さんはクスッと笑ったが、目が笑っていなかった。どうやら早く書かなければ怒られそうだ。僕は慌ててペンを走らせた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る