邪魔者には制裁を
七時三十分。私は、いつものように自分の教室へと入る。朝早いからか、教室には誰もいない。
別段早く来すぎたというわけではなく、これは自分の意志でそうしている。
私は、朝早くに誰もいない教室で一人静かに小説を読むのが好きなタイプの人間で、ほぼ毎日のように朝早く学校に来ては本を読んでいる。この静けさの中誰にも邪魔されずに読めるというのは、私にとっては至福の時間なのだ。
一通り教科書やノートを自分のロッカーにしまって、カバンから一冊の本を取り出す。それを片手に私は自分の席に座って本を読み始めた。
ちなみにジャンルは推理もので昨日読み始めたばかりである。
――続きはどんな展開なんだろう。
そう思い、しおりが挟んであったページを開ける。その瞬間、ガラッ!と教室の扉を開いた。こんな朝早くから学校にくる人なんて先生ぐらいだろうと考えていると、
「ここのクラスの流川って奴来なかったか?」
そう男子生徒に声かけられる。
「いや、この教室には来てませんよ」
私は内心、読書の邪魔をされたことにイラつきながらもそう返した。
突然現れた男子生徒は、
「そっか。ありがとうな!」
と返事をして廊下を走っていった。
――廊下は走ってはいけませんって小学校の時に習わなかったのかな。
などと思いながら、私は読書を再開する
確か流川くんはクラスでも人気者で、サッカー部に入っていたはずだ。朝練にでも来ていたのだろうかと考える。
――私の平穏な読書ライフを邪魔したあの男子生徒は絶対に許さない。
教室には、本のページをめくる音だけが響いていたのだった。
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