第2話 おじいちゃんとのお別れ

 これは私が高校生の時です。何歳の時だったか忘れてしまいましたが、入院していたおじいちゃんが亡くなりました。


 誤嚥性肺炎でこの世を去ってしまったおじいちゃん。

 葬式は無事に終え、みんなで見送る事が出来てから二週間経った頃でしょうか。


 ある日の深夜、なかなか寝付けなかった私はベッドで寝がえりを繰り返しながら睡魔が来るのを待っていました。そんな時、ふと視線と気配を感じたので気になって起き上がってみると、壁の方に人影が立っていました。

 コ〇ン君の犯人みたいに黒い全身タイツを着ているように見えたので、顔までははっきりと分かりませんでしたが、背丈といい、髪型のシルエットといい、たぶんおじいちゃんだと思いました。


 おじいちゃんの顔は見えないので何を思って、部屋に来てくれたのかは分かりませんが、私と隣で寝ている妹の方へ体を向けて少しの間、じっとしていました。

 私は意図が分からなくて、そっとおじいちゃん? と聞くと、おじいちゃんの影はスウッとゆっくり消えていき、気配もなくなったのです。


 葬式で泣かなかったから薄情者って文句を言いに来たのかな、とかあの世に行く前に孫たちを訪ねて回っているのかなとか考えているうちに、私は気付けば眠っていました。


 厳しくも優しかったおじいちゃん。最期の方はなかなか会えなかったけど、輪廻転生があればまたいつか会いたいね。見間違えかもしれませんが、私はおじいちゃんだと信じています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る