永久機関
俺は吸血鬼だ。人間の生き血を吸って生きている。
しかし、最近人間の血を吸うのも面倒くさくなってきた。獲物を探すのも手間だし、血を吸おうとすると騒ぎにもなる。外には日光やニンニクなどの吸血鬼が苦手なものもたくさんあるし、なるべく家の中にいたい。
「家の中にいながら楽に血を吸う方法はないかな?」
色々と考えた末、自分自身の血を吸ってみることにした。試しに自分の右腕に齧り付いてみると、なかなか良い味だった。
「身近にこんなにうまい血があったなんて今まで気が付かなかった」
俺はその日から家に篭り、腕に齧り付いて過ごすようになった。
後日、俺の家を訪ねてきた吸血鬼仲間にも俺の考案したこの「自己完結型吸血法」を教えてあげると「その手があったか!」と非常に感心され、この方法は瞬く間に吸血鬼仲間の間で広まっていった。
その後、他の吸血鬼達もみんな俺と同じように自分の血を吸って暮らすようになった。獲物を探して外に出ることもなくなり、家に引き籠るようになった吸血鬼達は、いつしかその存在を人間達から忘れられてしまったのだった。
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