アリ
貧乏な男が安い物件を探してとある不動産屋を訪れた。
「どんな物件でもいいから可能な限り安い物件をお願いします」
「安い物件ね。ココは安いけど、流石にないか……」
不動産屋が気になることを言ったので、男は追求する。
「ココってどこですか? 安いならどんな条件の物件でも構いませんよ」
「いや、この物件なんですが」
不動産屋は物件の情報が書かれた一枚の書類を男に差し出した。
「いいじゃないですか。広いし、駅にも近いし、何より家賃が安い」
「それはそうなんですが……出るんですよ」
「出る? もしかして幽霊とかですか?」
男の指摘に、不動産屋は首を振る。
「いえ、害虫です」
「害虫って蜂とかゴキブリとかですか?」
「いいえ、この物件に出るのはアリなんです。ちょっと食べ物を放置しておくと、すぐに群がってくるらしいんです。これが本当に大変らしくて……」
不動産屋は頭を抱えて話したが、男は笑って答える。
「なんだ。そんなことなら俺は平気ですよ。部屋に食べ物を放置しないように注意すればいいだけだし。俺この物件に決めました」
こうして男はその物件に住むことになった。その後、男は寝ている間にアリ達に身体の肉を全て喰われて、後日白骨死体として発見された。
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