フィギュア
俺はアニメのフィギュアを集めるのが趣味だった。でももういい歳なので、そろそろフィギュアを卒業しようと思い、処分することを決意した。
とりあえず片付けるため、フィギュアを手に取ろうとする。すると驚くことが起こった。
「やめて、捨てないで!」
なんとフィギュアが喋り出したのだ。
「おい! あたしたちを捨てるのかよ!」
「長い付き合いなのに!」
「この人で無し!」
「そーだ! そーだ!」
続いて、部屋中のフィギュアたちが一斉に喋り出した。長年大事に扱っていたからフィギュアに魂でも宿ったのかもしれない。しかし、俺はフィギュア達に反論する。
「いや、もう俺は決めた。フィギュアは卒業してオタクもやめる。それに君たちのことを捨てるわけじゃない。売って新しい人に買ってもらうんだ」
しかし、フィギュア達も俺に反論する。
「でも売れるかどうかわからないじゃん!」
「私、オワコンアニメのフィギュアだから絶対売れなさそう」
「次の持ち主が変態だったらどうしよう」
「私はここでずっと暮らしたいんだよ!」
「お願いだからここに居させて!」
「中古フィギュアなんてどうせぞんざいに扱われるに決まってるよ!」
こう立て続けに色々言われて、なんだか頭が混乱してきた。フィギュア達を落ち着けるため、俺はあることを提案した。
「わ、わかったよ。今からみんなで話し合って、これからどうするかを決めようじゃないか。これなら民主的でなんの文句もないだろう?」
俺の提案にフィギュア達は賛成し、俺とフィギュア達の話し合いが行われることになった。
話し合いの結果、俺1人が家を去ることになり、俺は泣きながら長年暮らした我が家を後にした。
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