究極クッキングバトル!
オレの名前は味林料太郎(あじばやしりょうたろう)だ。一人前の料理人を目指している。
そんなオレは今日本一の若手料理人を決める「全日本新人料理人コンテスト」に出場している。何とか決勝戦まで勝ち残ったオレだが、決勝戦はオレのライバルである天才料理人伊集院味蕾(いじゅういんみらい)が相手なのだ。
「決勝戦の課題は『野菜を使った料理』か。野菜を使った料理なんて無数にあるし、どんな料理を出せばいいのか見当もつかない。伊集院相手には下手な料理は通用しないだろうし、一体どうすれば……」
悩んだオレはとりあえず厨房を出だ。外に出れば何かヒントが見つかるかもしれないからだ。そしてオレは一軒のフランス料理店で足を止めた。
「フランス料理か。ちょっと食べてみるか」
オレは店に入り、おススメランチコースを注文した。しばらく待っていると、前菜が運ばれてきた。
「ふーん。ホワイトアスパラガスに赤いソースみたいなものがかかっている。なんだろう……ん? なんだこれは? トマトのようだけどただのソースじゃなくて何というかムースのような食感だ。あの、これはなんですか?」
「はい、こちらホワイトアスパラガスとトマトのエスプーマです」
「エスプーマ?」
「エスプーマは専用の機械を使って作ったムース状の食品です。その機械を使えばあらゆる食材を二酸化炭素の力でムース状に変えることができるのです。このアスパラガスにかかっているのはトマトのエスプーマですね」
「なるほど、そんな調理方法が……よし! 決勝戦の作戦を思いついたぞ!」
そして、迎えた決勝戦。
「ふん、逃げずに来たようだな味林!」
「伊集院! 逃げるもんか。お前を倒す方法がせっかく見つかったんだからな」
「では早速調理をしていただきます! 今回の課題は『野菜を使った料理』です!」
決勝戦が始まった。ちょうどその時、会場に大きな箱を持った配達員が現れた。
「おーい! 味林さーん! お届け物でーす!」
それはオレが注文していた特注の調理器具だった。何とか間に合ってよかった。
「やっと届いたか! 伊集院! これを見やがれ!」
オレは箱から調理器具を取り出す。
「な、なんだアレは!?」
オレが用意したのは超巨大なエスプーママシーンだ。その大きさは人が1人入れるほど大きい。
「どうだ見たか!」
「一体何をする気なんだ?」
「知りたいか? ならこっちに来てみろよ伊集院!」
「ふん面白い! 見てやろうじゃないか!」
伊集院が近づいてきたので、オレはヤツを拘束し、エスプーママシーンに押し込んだ。
「な、何をする気だ味林!」
「エスプーママシーン起動!」
「ぎゃあああああああああ!」
伊集院は機械の中で液状化していく。
「あ、味林選手! これはどういうつもりだ!」
騒ぐ司会者に対してオレは高笑いをあげて答える。
「わははは! 見ての通り伊集院をエスプーマにしてやるんだよ! 散々考えたが伊集院に勝つ方法なんて思いつかなかった! だが奴がエスプーマになれば料理は作れず、オレの不戦勝というわけさ! わははは!」
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