盗作
小説家の私が自室で仕事をしていると、いきなり部屋に刃物を持った男が侵入してきた。強盗か何かだと思った私は男に命乞いする。
「ひ、ひぃ! 助けてくれ! 金でも物でも好きなだけ持っていってくれていいから!」
しかし、男は首を振る。
「そんなものはいらん! お前は小説家だよな? お前の小説のアイディアをいただく!」
「そ、そんなことをしてどうするつもりだ!」
「俺も小説家だ! もうすぐ締切なのに何も思いつかない! こうする以外もう方法がないんだ!」
男は泣いていた。よっぽど切羽詰まっているのだろう。
「そうか、なら仕方ないな。しかし残念ながら私も何も思いつかないで困っていたところだ。締切は明日なのに、もうどうしようもない」
私も泣きながらそう言った。
締切に追われ絶望した私たち2人は、ひたすら泣き続けるしかなかった。
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