仕事納め

 俺はとある会社に勤める会社員だ。


 今日は12月30日。本当は一昨日が仕事納めだったのだけれど、急な仕事が入って今日も会社に出勤した。幸い仕事は午前中に片付いて、これから帰宅するところだ。


 無事仕事を終えた安心感からか、なんだか急に疲れが出てきた。途中公園に寄り、ベンチに座って休憩する。


「はぁ、なんとか仕事が終わったな。本来休みの日に仕事をすると、なんだかいつもより疲れる気がする」


 そんな独り言を言っていると、隣のベンチに座っていた、恰幅のいいおじいさんが話しかけてきた。


「今日はお仕事だったんですか?」


「ええ、午前中だけでしたが。これでようやく仕事納めです」


「30日まで仕事だなんて大変ですね。私は25日に仕事納めでしたよ」


 このおじいさん働いているのか。でも25日に仕事納めとはちょっと早いな。


「まあ、これで無事新年を迎えられます。でも正月休みもあっという間に過ぎそうです。きっと家でゴロゴロしているだけでしょうが」


「仕事始めはいつからですか?」


「うちの会社は1月4日からです。そちらは?」


「私のところは12月24日から仕事始めです」


「え?」


 12月25日に仕事納めで12月24日に仕事始めとは、一体どういうことだろう。


「あの、すみません。あなたお仕事何をされているんですか?」


「ああ、私の仕事ですか? サンタクロースをさせていただいています」


 白い髭を蓄えたそのおじいさんは笑って答えた。

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