生きている意味がない
人生に疲れた俺は自殺をする決意をした。
夜、首吊り自殺用の縄を持って自宅付近の林に行った。ここは人が滅多に来ないし、首吊り自殺をするのに丁度いい木も生えている。
「はぁ、まさか仕事をクビになるとは。家族もいないし友達もいない。もう生きる意味なんてない」
木の枝に縄をつけながらそんな独り言を言っていると、背後に人の気配を感じた。振り返ると1人の中年の男が立っていた。酔っ払っているのか顔が赤い。
「おい! お前何しようとしてんだ!?」
男はそんなことを聞いてきたので、俺は正直に言う。
「見ての通り自殺しようとしてるんですよ。もうこの世に未練はないし、それに俺が死んでも悲しむ人なんていないから」
すると男は俺に近づき、思い切り顔面を殴ってきた。倒れた俺に向かって男は叫ぶ。
「バカヤロウ!」
どうやらこの男は俺の自殺を止めようとしているらしい。余計なお世話、自分に酔った偽善的な行為だ。
「止めても無駄ですよ。もう俺は生きている意味なんて……」
「うるせえ! バカヤロウ!」
言い終わる前に男は俺の体に馬乗りになり、俺の顔面を何度も何度もぶん殴った。自殺を止めるためなのだとしてもこれはやり過ぎだ。このままでは俺は死んでしまう。
俺は痛みと恐怖で泣きながら男に懇願する。
「や、やめてください! 何でこんなことするんですか!」
男は俺を殴りながら答える。
「ストレス解消のためだ! 俺は今日仕事をクビになってな! 機嫌が悪いんだわ! だからお前をぶん殴ってスッキリしたいんだよ! お前が死ぬまでぶん殴らせてもらうぞ! なんの問題はねえよな! お前もうこの世に未練がないんだし、お前が死んでも誰も悲しまないんだからな!」
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