タイムマシン

 大学でタイムマシンの研究をしているという友人からある日電話がかかってきた。


「遂にタイムマシンが完成したんだ。よかったら一緒に乗ってみないか?」


 以前からタイムマシンに興味を持っていた俺は友人の研究室まで飛んで行った。


 研究室には大きな銀色の球体が置いてあった。これがタイムマシンらしい。


「よくきたな。じゃあ早速乗ってみるか」


 俺たち2人はタイムマシンへと入った。


「そういえばこのタイムマシンって未来にも過去にも行けるのか?」


 俺が質問すると友人は首を振る。


「いや、行けるのは未来だけだ。しかし、未来なら100年先でも1000年先でも行けるぞ」


「それは、すごいな。じゃあとりあえず100年先まで行ってみよう」


「わかった。では出発」


 友人はタイムマシンの操作を始めた。


「それにしても本当にタイムマシンを作るなんてな。どんな原理で未来に行くんだ? まあ聞いても俺には理解できないんだろうけど」


 タイムマシンの操作をしながら友人は俺の質問に答える。


「いや、簡単な原理だ。タイムマシンを発進させると冷凍ガスが噴き出て俺たちは凍って一種の冬眠状態になる。そして今回なら100年後に解凍装置が作動して俺たちは冬眠から目を覚まし、100年後の世界にいるというわけさ」


 タイムマシンの原理を聞き、しばらく考えてからある疑問が浮かび、友人に質問する。


「その原理で未来に行くのだとすると、どうやって現代へ帰るんだ?」


「いや、帰る方法はない。未来へは一方通行さ」


 友人の言葉に俺は驚く。


「おい! そんなこと聞いてないぞ! 帰れないなんて……」


 友人はそんな俺を笑い飛ばす。


「まあ、何とかなるさ。100年後に行くんだから、過去へも行けるタイムマシンだって開発されているかもしれないしな。あ、そろそろ時間だ。じゃあ100年後にまたな」


 そして冷凍ガスが噴き出してきて、俺たち2人は100年の眠りにつくことになった。俺たちが現代に帰れるかはこれから100年間の、人類の科学の発展にかかっている。

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