大サービス
ハイキングに来たある男は森の中できれいな泉を見つけた。
「こんなところに泉があったなんて知らなかった。せっかくだし写真でも撮っておくか」
男がポケットから携帯電話を取り出そうとすると、ポケットに一枚だけ入れていた硬貨も一緒に出てきて泉の中に落ちてしまった。
すると、泉が急に光りはじめて、泉の中から美しい女性が現れて話しはじめた。
「私はこの泉の女神です。あなたが落としたのはこの金貨ですか? それともこの銀貨ですか?」
童話のような出来事に男は驚きながらも冷静に考える。
(確かここで嘘をついたらダメなんだ。正直に言わないと)
「いえ、私が落としたのはただの小銭で金貨でも銀貨でもありません!」
男がそうハッキリと答えると女神がとても嬉しそうな顔で笑う。
「あなたはとても正直者ですね。今時本当に珍しいです。いつも嘘つきばかり来るので本当に呆れていたところです。本来金貨と銀貨と落とした硬貨を一枚ずつあげるところですが、久しぶりにあなたのような正直者に出会えて嬉しいので大サービスです。いえ、遠慮はいりません」
そして、突然空中から金貨や銀貨が大量に出現し、男をめがけて降り注ぎはじめた。
「ではさようなら。これからも正直で正しい心を持ち続けてくださいね」
泉の女神は満足げに泉の中へと消えていった。
そして男は金貨と銀貨の山の下敷きとなり、その短い生涯を終えた。
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