活動家

 俺はとある牧場で働いている。ある日の朝、牧場の中で1人の男が大声で喚きはじめた。


「屠殺反対! 知能がある生物を殺して食べるなど非人道的な行いである! 断じて許してはならない!」


 そいつの大きな声で家畜たちは驚き、ざわつきはじめた。







 うるさいな、家畜たちにも悪影響だし、職員としては放っておけない。俺は光線銃を取り出し、男の心臓を狙って引き金を引いた。男は胸から血を噴き出して倒れた。


 あの男を屠殺するのは今日の晩の予定だったが仕方ない。予定を早めて午前中に加工場に送ってしまおう。




 我々がこの地球を植民地としてもう数年が経った。この星の人類は少しは知能はあるものの、奴隷として扱うには非力なので、食用の家畜として飼育しているのだ。味はなかなかで、現在では本星でも好んで食されている。


 しかし、なまじ知能がある生物のせいか今日みたいに変なことを言い始めて、暴れたり喚き出したりする奴が時々いるので困っている。家畜は家畜らしく大人しくして欲しいものだ。

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