　最近法改正で、車にミサイルを装備できるようになった。

　普通乗用車にはフロントミサイルとリヤミサイルの合計2発のミサイルを搭載することが可能になり、どうしても目障りな車が前か後ろにいた場合、それらに向けてミサイルを発射できるようになったのだ。

　俺が通勤用に使っている自動車を車検に出した時、ちょうど「ミサイル搭載無料キャンペーン」というのをやっていたので、この機会にミサイルを装備してみることにした。

　車検を終え、道路を走り始めると前方に何やら不自然な動きをする車があった。遅いし、やけにふらふらしている。よく見ると初心者マークがついている。どうせ免許取り立ての学生かなんかだろう。ムカつくし目障りだ。

「よし、試しにミサイルを発射するか」

　そう呟いた俺は、ハンドルの真ん中についているミサイル発射ボタンを押した。　

　しかし、ミサイルは発射されず、代わりに俺の車が爆発した。

　「なぜだ？」とまず考えたが、すぐに「なるほどな」と考えが変わった。

　目障りだから、ムカつくから、そんな簡単な理由で、周りの車にミサイルをぶち込もうとする短慮な人間なんてこの世に居ていいわけがない。そんなヤツ爆死して当然じゃないか。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい