プロ仕様のバッティングマシーン
野球が趣味の俺は、ある日新しいバッティングセンターができたというので行ってみた。
入ってみると「プロ仕様バッティングマシーン」というのがあり、腕に自信のある俺はそのマシーンで打つことにした。
プロ仕様というだけあり、そのマシーンからはそこそこ速い球が投球されていたが、俺は片っ端から球をホームランにしていった。
「へっ! プロ仕様と謳ってる割には大したことねーな!」
俺がマシーンに向かって独り言を言っていると、なんと次の球が俺の顔面に向かって発射された。咄嗟に避けたため球は当たらなかったが、俺は尻餅をついた。
「どういうことだ、故障か?」
俺がバッティングマシーンの方を見ると、なんとマシーンが俺に向かって近づいてくるではないか。よく見るとマシーンには車輪がついており、それで移動しているらしかった。
マシーンはどんどん近づいてくる、しかも球を発射しながらなので恐怖以外の何者でもない。
「うわあ! 来るな!」
俺は恐怖のあまり錯乱し、バットを振り回す。するとそれがバッティングマシーンに当たり、マシーンは煙を吐いて停止した。
「助かった。くそ! なんてバッティングセンターだ!」
やがて店員らしき男が俺の元にやってきた。
「ちょっと店員さん! ここのバッティングマシーンおかしいよ! 俺今酷い目に……」
文句を言う俺を無視して、店員はマイクを取り出し、よく通る声で宣言する。
「えー球審の店員です。ただいまバッターにより投手への暴行がありましたので規則により、バッターを退場とし、無期限の出場停止処分といたします」
俺は訳もわからず店員にバッティングセンターからつまみ出され、出入り禁止にされてしまった。
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