忘れん坊

 私は昔から忘れん坊だ。買い物に行ったけど、何を買うか忘れたなんて日常茶飯事。傘や財布などを何度置き忘れたかわからない。友達との約束もうっかり忘れて怒られることもよくある。


 流石にこのままではいけないので、予定のメモを取ったり、約束の時間が近づくとアラームが鳴るように携帯電話にセットしたりして、なんとか忘れ物を減らそうとしている。


 そして今、私はどうやらとんでもないことを忘れているようだ。とても大事な予定をすっぽかそうとしているような、でもその内容が思い出せない。


 とりあえず、メモ帳と携帯電話を確認しようとした。大事な用事ならメモをしているだろうと思ったからだ。しかし、肝心のメモ帳と携帯電話が見当たらない。なんて事だ、そんな物まで失くしてどうする。どこに置き忘れなのだろうか、思い出せない。


「そもそも、今ここどこだっけ。何をしてたんだっけ」


 私は何とか思い出そうと考える。


「何かの行事だった気がする。それに参加しなくちゃならなかったような。結婚式? いや、違うなもっと別の……」


 そこまで考えて私は手を叩いて叫ぶ。


「わかった! 葬式だ! 私葬式に行かなくちゃならなかったんだ!」


 やっと思い出した。何でこんな大切なこと忘れていたんだろう。私が行かないと始まらないと言うのに。






 私は空中を飛び、急いで私の葬儀会場へと向かった。

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