ギャグ式冷房機

 私は新発売の「ギャグ式冷房機」というものを購入した。


 これは「寒いギャグを言うと場の空気が冷める」という現象を利用した機械で、この冷房機の前で寒いギャグを言うと冷たい空気が放出され、部屋を冷ましてくれるのだ。


 この機械はエアコンのように多くの電気を使わないので、かなり電気代の節約になる。


「早速使ってみるか。ボタンを押して寒いギャグを言えばいいのか。えーっと……」


 私は少し考え込む。「寒いギャグを言う」といっても改めて考えてみると結構難しいものだ。


「定番だけどこれでいいか……布団がふっとんだ!」


 俺がそう言うと同時に冷房機から冷たい空気が放出される、そのはずだった。


 しかし、ギャグ式冷房機から吹いてきたのは熱風だった。しかも停止ボタンを押しても全く停まらない。室内の温度はどんどん上昇し、冷房機からは煙が出ている。


「いかん! 逃げよう!」


 私は家から脱出した。


 家から出た直後、背後から爆音が鳴り響く。ギャグ式冷房機の大爆笑ならぬ大爆発であった。炎に包まれ燃え盛る我が家を前にして、私は大声で叫んだ。


「馬鹿野郎! ギャグ式冷房機が笑い上戸でどうする!」

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