第9話鼠月虎日『二頭のニート』



「天賦ってなんすか」


「お前にはもったいないものだ」


「…」


 ムカつくがムカついているのはお互い様のようだ。男もまた、ため息を連発している。はぁはぁうるせえんだよ。


「『天賦』。名前の通り、天、『神』からの授かり物だ。魔力の用途は主に二つ、『魔法』、『身体強化』。限られたものだけに許されるのが『天賦』」


 つまり俺はチート持ちwww。そしてこいつは俺に妬いてるわけか!


「あの、俺なんかやっちゃいました?w」


「闘技場を破壊したな」


「すんません」


「――――」


 調子に乗るのはやめておこう。マジで。


「天賦っていうのはあの火が出て爆発するやつですか?俺みたいな奴が何人もいると?」


「いや、発見されているのは100人に満たない。現在生きているのは50人ほどだろう」


「まじすか」


 平気なのか?ニヤニヤが止まらん。


「天賦は神によって授けられる。俺は火の神ウェルカヌスから『火の天賦』を授かった。お前の場合はよくわからん。しばらくすれば夢に出てくるだろう」


「お前もチート持ちかよ!」


 ウェルカヌスってなんだよ。めっちゃカッケェじゃねぇか。俺も夢で神に会えるのか?今日は早く寝よう。


「なぁウェルカヌス」


「俺はウェルカヌスではない。イグニートだ」


「イグニート、いぐにーと、にーと、ニート!?マジかよお前もニートじゃねぇか!」


「――――」


 さては気にしてたから今まで名乗ってなかったのか。かわいいやつめ。


「なぁニート」


「――――」


「俺は捕まるんか?」


「いや、事故として終わらせようと思っていたのだが――――」


「ニートって言ったのは謝るから許してくれ!」


「違う。天賦持ちは保護する規定になっている」


「保護って!ガキじゃないんだよ。てか日本に帰りたい。疲れた」


「まったく、お前は何者なんだ――――。まぁいい。手を出せ」


 何者とか言われたの初めてだな。


「これでいい?ってああああああああ!痛ってえええええ!」


「帰っていいぞ」


 手を出したらなんかの魔法でタトゥーみたいなの掘られた。手の甲に葉っぱみたいなマークができました。クソダセェ。

 てか熱い。


「じゃあなニート」


「黙れニート」



◇◆◇◆◇



 警察署?みたいなところを出るとユキノブとセイコさん、そしてぽっぽがいた。会いたかったよぽっぽ。


「どうだったの?ホクサイ」


 俺は手を見せる。


「烙印?やばいよホクサイ!」


「災難だな」


 案の定、ユキノブとセイコさんはビビっている。

 しかし――――、


「ホクサイ、天賦もちだったの?」


 この世界のやつはわかるのか。


「ぽっぽ、これの使い方教えてくれよ。アイス買ったげるから」


「いいよ」


 『天賦』、使いこなそう。

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