第2話 2日目 パリにて
トラベル小説
パリのシャルル・ド・ゴール空港着。モスクワからは3時間乗っていたが、時差があるので、パリは夜の8時半。日本時間では明け方の3時半。さすがに眠い。でも、外はまだ明るかった。日本よりはるか北にあるので、夜が遅いということだった。
入国審査はスムーズだった。彼が泊まるホテルをプリントアウトしてくれていたし、帰りの飛行機も予約してあったので、特に聞かれることはなかった。スーツケースもビジネスクラスということで、早めにでてきた。彼の誘導で、バスターミナルに移動した。
「スリが多いから注意しなよ。ぶつかってきたら、まずスリ。それから子どもの窃盗団もいるからね。私から離れないこと」
と脅された。そう聞いたので、近づいてくる人みんながスリに見えてきた。
バスターミナルで、ディズニーランドパリ行きのバスに乗った。途中の夜景がきれいだった。1時間ちょっとでホテル着。アメリカンスタイルの大きなホテルだった。ここに2泊するとのこと。部屋はツィンルーム。同部屋で今日こそラブラブできるかと思ったら、彼はさっさと寝てしまった。日本時間で朝の6時。パリ時間で夜の11時。さすがに真っ暗だった。
翌朝7時に朝食。レストランでハムとチーズだけの朝食。彼は、
「ヨーロッパ大陸は、コンチネンタルスタイルといって、こんなもんだよ」
と言っていた。昨日いっぱい食べたので、なにか物足りなかった。すると、
「昼食においしいフォアグラをごちそうするよ」
という声に不満は消しとんでしまった。
8時45分にディズニーランドパリに入場。オフィシャルホテルに泊まっているので、15分早めに入場できた。彼は、まずレストランに行って、予約をしてくれた。人気のあるレストランなので、予約しないと入れないということだった。彼は、今回で3回目とのこと。その後、アトラクションにいくつか乗った。バカンス前の平日ということで、比較的すいていた。30分以上並ぶアトラクションはなかった。
特におもしろかったのは、スペースマウンテンだった。東京のアトラクションは暗い中でゆっくり登って一気に降るというものだが、パリは違う。透明の筒の中に搭乗口があり、外が見える。全員が座ると、圧縮空気の力で一気に上昇する。まるでロケットだ。宇宙に飛び出すというところで、暗いトンネルに入り、右に左に曲がる。東京では星空があり、レールが少し見えるのだが、ここは本当に真っ暗。突然曲がるので、びっくりする。無事帰還するとホッと一安心するというアトラクションだった。おかしかったのが、コーヒーカップ。私が
「乗ろう、乗ろう」
と誘ったのだが、彼は嫌がっていた。なんとか乗せ、動き始めると、彼はハンドルをギシッと持ち、コーヒーカップが回らないようにしている。回らないと面白くないので、私は奥の手のコチョコチョ攻撃をした。彼は思わず手を離したので、そこからは私の独壇場。コーヒーカップは勢いよく回り始めた。彼は目を閉じて、じっとしている。終わるとゲソッとしていた。こういう目が回るアトラクションが苦手とのこと、スペースマウンテンは平気なのに、変な人と思ったが、ちょっと悪かったかなと思い、謝った。
昼食のフォアグラは本当においしかった。まるでホタテかアワビのソテーかと思う味だった。
「別な店で食べたフォアグラは、脂肪だらけでぶよぶよだった。でも、ここのはほどほどの硬さがあって、食べやすい。味付けもいいよね」
という彼の言葉どおりだった。
午後からは、アリスの迷路に行った。中央にあるお城まで行って、どっちが早くでられるかの競争をした。私は本格的な迷路で道に迷い、出られないかと思った。でも、中央のお城で、迷路全体を見ることができた。それで、なんとか出ることができた。彼はずいぶん前に来ていたらしく、
「アイちゃん、大変だったね。無事帰還おめでとう」
と笑いながら言った。コーヒーカップの仇をとれたと思ったのだろう。
感動したのは、ライオンキングのショーだった。フランス語なので、何を言っているかは想像の範囲だったが、動物の動きがリアルだったし、なんと言ってもダンサーの踊りがきれっきれで華麗だった。
夕食はイタリアンレストランでパスタ料理を食べた。これも今までに食べたことがないおいしさだった。クリーム味がとてもやさしかった。赤ワインもおいしかった。彼は白ワインだった。彼は、
「クリーム系のパスタには白ワインがあうんだよ」
と言っていたが、私は赤ワインが飲みたかった。
「これが飲みたかったの!」
と強く言ったら、笑っていた。
ホテルにもどり、今日こそラブラブがあるかと思いきや、
「明日はレンタカーでベルギーまで行く。疲れると居眠り運転になるからオヤスミ」
と言って、さっさと寝てしまった。まだ夜の9時。外はまだぼんやりと明るいのに。
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