俺氏、オタクに優しい清楚系ギャルにごめんなさいしたくなる
「流石、グレンの作ったダンジョンだ。しっかりと敵が強い。でも俺の方が強い」
一振りで普通の学生であれば死闘の果てに倒せるような魔物を次々と切り裂いていく。
最初の階層で運悪くか、ある意味運よくか、魔物だらけの魔所謂、物部屋階層を踏んでしまい、厳しい戦闘を強いられることになってしまったが、元々のベースの難易度はあくまで学生用に作ったダンジョン。
明らかに学生を超えた力を持ったモブイにとったら変な即死罠やドッペルゲンガーや特殊な能力を使う魔物や徒党を組んで統制して襲い掛かってくる魔物がいないんだ。
モブイハーレムメンバー(笑)という足手まといがいるが、モブイにとっては丁度良いハンデ位であろう。
その証拠に気が付いたらもう魔物部屋の魔物を片付けやがった。
流石モブイだ。
「モブイ君って、とっても強いんだね」
「まあ、あれくらいの敵なら森にいた時にいつも倒して来たからな?」
「森にいた時って、フフフ、おかしなこと言うね」
「いやおかしなことっていうか本当の事っていうか・・・」
「ねえねえ、どうやったらあんなに強くなれるの教えてよ」
一人がモブイの腕を掴んで胸を押し当てた。
「ああ。ズルい。私にも教えて」
また別の女子が反対側の方に胸を押し当てる。
「ちょっと、モブイ君が困ってるでしょ」
そういって後ろから抱き着く女子。
・・・・・・・・・
何だこの絵に描いたようなキッショい、ゲフンゲフン、素晴らしいハーレムは。
何?モブイ前世でどんな得を積んだ?
というか何でこいつらモブイにこんな好意を寄せてるんだ?
あんまりよくないけど、心を読んでみるか。
スキル・心読
・・・・・・・・・
フャーーー。なるほど。なるほど。なるほど。
なるほどね。
噓だろおい。マジか。
実質俺のせいじゃないか。
とどのつまりどういうことかというと、オタクに優しい清楚系ギャルことカタリナちゃんはアンクル商会のせいで潰れた商会の娘であったという訳だ。
その結果、父親は一人で夜逃げし、母親は気が触れて廃人になり、カタリナちゃんは必死に貧困に耐えながら母の世話をしていたがある日、家に帰ったら母が自殺、絶望のどん底に落とされて一人で逃げた父と全ての元凶であるアンクル商会に復讐を誓ったらしい。
ゲロ吐きそうなくらい重い。
で、力をつける為に必死に努力し才能も有った為、英雄学園に入学することが出来、そこで仇であるアンクル商会の十二統括者である俺と出会う。
感情を殺して近づき、余りの強さに敵わないと理解し、どうにか俺に復讐する為に俺と仲の良いモブイを陥落され、事情を話して仲たがいさせて、あわよくばモブイと協力して俺を殺そうと思ってたららしい。
で、取り巻き?の友人は普通に学園で仲良くなった真っ当な友達で、普通に強い力を持って割とイケメンなモブイに恋心に近い感情を持ってた。
所謂、俺とカタリナちゃんの因縁には無関係ってことだ。
普通にモブイがモテてるだけ。
いや、それはそれでなんか羨ましいな。
まあいいや。
以上が事の顛末。
簡単にまとめれば、カタリナちゃんはアンクル商会のせいで全てが奪われ、アンクル商会十二統括者の俺に復讐をする為にモブイを陥落しようとしたって訳だ。
で、だ。
基本的に俺にも良心はあるわけで、アンクル商会によって潰された商会の中で不正行為や犯罪行為をしてない場合は店員として雇い入れるか、居抜き物件として扱う為に充分な金銭で商会の建物を丸ごと購入するか、罪滅ぼし程度の行動はしている。
でもカタリナちゃんの心を読む限りそういうのがなかったっぽい、つまり不正or犯罪行為をしてた商会ってことだ。
という訳で俺は思い出してしまったわけだ。
カタリナちゃんの正体を。デジャヴの理由を。
魔王殺しの英雄学園のサブストーリー【麻薬貴族と悪徳商人】
本筋のストーリーは序盤に悪徳貴族壊滅っていう、悪徳貴族をバッサバッサと斬り倒したり、処刑台に送る気分爽快な話があるのだが、そのサブストーリーでとある悪徳貴族と繋がって麻薬を売り裁く悪徳商人が出てくるのだ。
ほんで、まあ悪事を暴いて乗り込んで勇者の力でフルボッコにして最終的には弱者を食い物にして数多の富を搾取した麻薬商人とそれを知っていた部下数十名に贅の限りを尽くしていた奥さんが処刑台の前に立つことになってハッピーエンドで終わりなのだが。
そっからこのサブストーリー【麻薬貴族と悪徳商人】クリア状態でメインストーリーを進めていると一人の少女が学園内で急に勇者に襲い掛かってくる。
そこまで強くなく、普通に倒して終わりで、プレイしてて???ってなって終わりなのだが。
後に運営から出された設定資料集にてその件の少女の名前がカタリナであること。
実はサブストーリー【麻薬貴族と悪徳商人】の悪徳商人の娘であり、自分の両親が麻薬取引を行っているとは知らずに、育っていたこと。
何も知らなかったが為に処罰こそされなかったが、財産は国によって全て没収され、頼れる両親もいなくなり親が犯罪者ということで虐めにあい、それでも自分の居場所は幸運なことに先払いしていて実質学費ゼロで卒業までいられる英雄学園しかなくて、情緒ぐちゃぐちゃになりながらも、何とか前を向いて生きようとしたが、自分の両親を優しかった商会の皆を殺しておいて女性に囲まれてヘラヘラしてる勇者を見て許せなくなって、凶行に及んでしまい、返り討ち、投獄されるっていう。
当時、読んでて「ひぇ」って声が出る様な設定があった。
だから記憶には割と残っていた。
そのカタリナちゃんだ。
いやはやこれは何というか、かんというか。
ヤベエ、マジでどうしよう。
マジでどうしよう。割と俺にも責任あるじゃん。
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