俺氏、ダンジョンを作成する


 俺は今、超絶ワクワクでダンジョンを作成しています。


 ダンジョンを作成するって何を言ってるんだと思うかも知れないけど、そのまんまだ。

 かくかくしかじかというか主に俺の行いの結果、ランキングシステムをこの英雄学園に作ることとなった。

 このランキングシステムにおいて当たり前の話ではあるが順位を決定しなければならない、この順位をどうやって決めるかってなった時に単純な戦闘能力を測る生徒同士で戦うランキング戦。

 ダンジョン攻略による多様な技能等の能力を測るダンジョン攻略試験。

 上記2つでは測れない特殊能力を測定する為に教師の前で行う技能披露試験。

 以上の3つでランキングを決めるらしい。

 といっても最後の技能披露試験は披露する技能のスキルレベルが5以上ないし上位スキルでないといけないという制約があるから実際に披露する人数は少ないだろうから、まあ実質、上記2つでランキングを決める形だ。


 でだ、この2つ目の迷宮攻略に使うダンジョンを俺が今作ってるんだ。

 一応、英雄学園には迷宮もといダンジョンは存在する。存在しているのだが、普通に自然発生したものであるので、管理が出来ていない。

 死にそうになったら救出とかも出来ないし、中の様子を確認して点数をつけるなんてのも出来ない。

 これでどうやって試験をするんですかという話だ。


 だから、俺が死にそうになったら勝手に脱出される機能やら中の監視機能や一定の基準の活躍に応じてポイントを入れてくれる自動採点機能やらやらを詰め込んだ今回の試験の為だけのダンジョンを作ってるというわけだ。


 俺じゃなくても俺の眷属であり最も作成に優れているアルティメットホムンクルスのアンクルならば似たようなダンジョン作れるけれども、現在アンクルはアンクル商会のことで忙しい。

 となると作れるのは俺一人なんで俺がやることになったわけだ。


 最初は面倒だと思ったが作ってるうちに楽しくなって来て、どんな仕掛けを作ろうかワクワクして試験に参加する学生共に泣きをみせてやろうってなったのが現在だ。


 因みにダンジョンの作り方は超絶簡単。

 希少な素材をたっぷり使って生み出したダンジョンコアを核とします。

 そのダンジョンコアに魔力と素材を大量にぶち込みます。

 その魔力と素材に応じて階層を追加したり魔物を作ったりギミックを作ったり色々出来ます。


 以上終わり。


 とっても簡単です。

 といってもダンジョンコアを作る時点で俺とアンクル以外誰も出来ない無理ゲーだけど。草。


 という訳でダンジョンに何を作っていこうかな。


 最初は素直に簡単なオーソドックスなテンプレダンジョンとしよう。

 洞窟型でゴブリンやらスライムやらウルフやらが出て来て、ある程度階層を進んだらホブゴブリンやオークや稀にオーガ等の魔物も出て、トラップは分かりやすい落とし穴や、分かりやすい吹き矢、踏んだら岩が転がってくるとか正にテンプレってので攻めていこう。


 ただ、そのテンプレを超えたら一気に事態は急変。

 出てくる魔物はランダムな魔物に姿を変身するメタモルゲッカー、オンリー。

 何が出てくるかは全部運次第。

 罠は敢えてゼロ。でも床や壁にそれっぽい怪しい何かをつくっておく。

 こうすれば今までは罠があったのでと警戒して余計な体力を使うだろうし、面白そうだ。

 他にはいきなり天候が変わるステージも作って、それにちなんだ魔物を置いてもいいな。

 一定の条件で魔物を倒したらアイテムが出現するみらいな仕掛けを作っても面白そうだし、隠し扉なんかを作って、先に進んだら絶対に勝てないレベルの魔物が襲ってくるって感じでも面白そうだ。

 悪意しかないな。

 他には全ての階層に化け物強い魔物を置いてもいいな。代わりに倒せたら豪華な報酬をドロップするとか。

 あ、逆に罠しか存在しなクソ階層を作っても楽しそうだな。

 こうなったら俺が手を入れなくても楽しめる半永久機関にする為に生命体の魔力を吸収するシステムも組み込んで自動で魔力が補充させるようにしつつ、冒険者が落としたアイテムや装備なんかも回収して改造して報酬にしたりとかしても良いな。


 どうせ、ダンジョンの入り口に入った時点で【1回の奇跡】(死亡の直前で死亡を回避して指定した安全地帯であるダンジョンの入り口に転移する魔法)がかかる魔方陣を組み込むんだ。

 とことんふざけてみよう。


 さあて、楽しくなって来たぞ。

















 


 かくして。ノリに乗りまくった主人公の手によって控えめにいって頭のおかしな試験用のダンジョンが完成したのは試験当日の朝の事であった。

 尚、主人公がダンジョン作成に没頭してたので、他の必要な報酬アイテムは仕事が終わった後にアンクルが徹夜して作りました。

 めでたしめでたし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る