俺氏、当て馬にされてる気がする・・・

「グレンおはよう」

 モブイが教室に入ってくる。


「おはようだファーーー、モブイ」


「あ。モブイ君だね。おはよう」

 カタリナがモブイにも挨拶をする。

 

「え、あ。おはよう」

 おそらく初対面であろう為に少しテンパる初心なモブイ。何というか凄くモブイらしいな。


「そんなに照れなくても大丈夫だよ。えっと、多分こうして喋るのは初めましてだね。私カタリナっていうの、これからもよろしくね」


「ああ。よろしく。その、グレンとはどういう関係なんだ。さっき仲良さそうに喋っていたけど」


「友達かな。あ、でも私はもうモブイ君とも友達のつもりだよ」

 距離の詰め方エグイって。マジでサークルクラッシャーの素質あり過ぎるよ。


「お、おう」

 いきなり初対面の女子に急接近されて緊張し過ぎてるのか声が固まるモブイ。

 何というかモブイらしいな。


「そういえばモブイ君も本は読むの?」


「ほ、本。えっとあんまり読まないか」


「そうなんだ。勿体ない。この本凄く面白いから良かったら読んでみて」

 ついさっき俺とカタリナで盛り上がっていた本を手渡すカタリナ。

 確かに本は素晴らしい物だからな。

 オタクってのは自分の好きを共有したい生き物なんだよ。


「俺からもその本をお勧めするファーーー」


「グレンもか。分かった。読んでみるよ」


「うん。そうしてそうして、あ、それで話変わるんだけどさ。モブイ君って物凄く強いんだよね?」

 

「まあ、それなりには強いと思うぜ」


「じゃあさ。私に戦い方教えて。授業で習えばいいって思うかも知れないけど、どうしても授業だけじゃ限界があるかなって感じちゃってさ」

 俺じゃなくてモブイに言った?え?俺もそれなりに強いつもりなんだけど。

 いやまあいいんだけどさ。なんか少し悲しいな。


「も、もちろんいいぜ。じゃあ早速今日の放課後から訓練を始めようか?」


「え?いいの?ありがとう」

 なんか二人だけの空間を作り始めたぞ。

 え?俺何?当て馬のモブキャラですか?

 

「じゃあ、今日の放課後よろしくね」


「ああ。もちろんだよ」

 カタリナは自分の席に戻っていった。


「ヤバい、どうしよう。グレン。俺カタリナのことが好きかもしれない。俺にはベロア先生がいるのに・・・」

 何にというかナニに悩んでるんだよ。

 ベロア先生はサキュバスクイーンだし、不特定多数と関係持ちまくってるから多分気にせんぞって、まあそんなことをモブイに言えるわけがないしな。

 というか今の一瞬で惚れたのかよ。惚れやすいにも程があるだろ。思春期の中学生かよって、まあ年齢考えれば思春期か。


「まあ、モブイの好きにすればいいと思うファーーー。だってモブイの人生なのだから。他の誰かが口を挟む権利なんてのはないファーーー」


「グレン・・・分かった。俺が決めるよ。俺は全員を幸せにしてみせる」

 原作主人公がハーレムルート選んだ時とほとんど同じセリフ吐きやがった。やっぱりモブイお前は主人公だよ。


「それが良いと思うファーーー。何か困ったことがあれば俺も手助けをするファーーー」


「ありがとうグレン。俺頑張るよ」

 何となく俺とモブイの友情が深まったような気がした。・・・多分。

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