アルティメットホムンクルス・アンクル


 私の名前はアンクル。

 偉大なるマイマスターであるグレン・アスフォール様から一番最初に生み出されたアルティメットホムンクルスである。

 得意属性は基本である錬金魔法と無属性魔法2つと創造魔法であり、容姿はマイマスターを大人にしたような形である。

 眷属の中では影武者をしていたカゲを除けば最もマイマスターに似た容姿をしている。


 そんな私はマイマスターから統括者の地位とアンクル商会のトップという地位を授かっており、おそらくマイマスターから最も信頼されていると思う。

 だからこそなのか、恐ろしい程の仕事を任せられている。

 いや、正確に言えば、気が付いたら恐ろしい程の仕事になってしまっているという方が正しい。

 私がマイマスターから任されられた仕事は基本的にった2つだ。

 

 一つ目はアンクル商会の創設者としてアンクル商会を大きくさせること。

 二つ目は、統括者としてマイマスターからによって創造されたアルティメットホムンクルス全員の管理をすること。


 最初はまだ良かった。

 アルティメットホムンクルス達の数も少なかったし、割と私の言葉を聞いてくれた。

 アンクル商会も最初こそ大変だったが、奴隷に錬金魔法を覚えさせて、他のアルティメットホムンクルスにも仕事を割り振り、優秀な人材を確保していって、私がいなくても現場が回るようにしてからはかなり仕事の負担は減った。

 時々マイマスターから原作の不幸回避のための協力要請が来るが、マイマスターの為になるのが喜びである私達アルティメットホムンクルスにとっては最高の楽しみであった。


 ただ、時が立ちアルティメットホムンクルスが11人となり、アンクル商会が後任の教育が追い付かない程に大きくなり過ぎてしまってからは話が変わってきた。

 在庫の都合上作らなければならない大量の錬金アイテム。

 アンクル商会拡大に必須どころか、ダーネスでも多用する錬金アイテムの需要は恐ろしいものであり、これがなければアンクル商会の信用が落ちる可能性やダーネスの方でも平和的な統治が難しくなってしまう。


 だから作った。

 寝るのを惜しむどころかアルティメットホムンクルスという特性を利用して一睡もせずにただひたすらに毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日錬金アイテムを作り続けた。

 アンクル商会の拡大を望むマイマスターの為に作り続けた。

 錬金魔法のレベルはとっくのとうにMaxになっている筈なのに作り過ぎたせいか、限界を突破して錬金魔術や補助錬金魔法、等々の様々なスキルを覚えてより素早くより大量に錬金アイテムを作れるようになった。

 それでもアンクル商会は拡大していき需要は増え続けて私の負担は一切減らなかった。


 このまま私一人で背負い続けてはキャパオーバーしてマイマスターに迷惑をかけてしまうと考えて、苦肉の策の果てに私はマイマスターに錬金アイテム作成をある程度担って貰うことにした。

 元々マイマスターは自分の気が向いた時や暇な時に錬金アイテムを作成して貰えてはいたが、基本的に自分の作りたいものだけ作るという形であった。

 お願いの果てに何とか了承してくれて、今はアンクル商会錬金部門統括者として錬金アイテムの作成を手伝ってくれている。


 おかげで負担は減った。確かに減った、錬金アイテム作成という点では大きく減った。

 ただ、その代わりに他のアルティメットホムンクルス達にも統括者の地位を定めて余計な権力を与えたせいで仕事が増えた。

 何でアイツら好き勝手やるんだよ。そういう性格、個性を持ってマイマスターから創造されたのは理解出来る出来るがしかし、好き勝手やりすぎだ。

 

 ハンゾウはマイマスターの為に日夜情報収集に励んでくれているが、情報収集能力が高すぎるあまり余計な情報まで持って来て他のアルティメットホムンクルス達に渡している。例えば善であるアテナのようなアルティメットホムンクルスには貧困にあえいでしまっている子供達の情報を、ダナーやバーサーカーなんかには各地で暴れている魔物の情報や新しく出来た犯罪組織の情報を、新しい鉱石の情報をカグチに渡したり等々。

 正直知らなければ良かったのに、知ってしまったらその為に行動をしてしまう。

 私達はそういう風に作られている。

 で、結果的に私の仕事が増える。

 

 アルティメットホムンクルスは最強の存在であり常に大量の仕事を抱えている。

 にも関わらずそれを放り出したら誰がその尻拭いをする。アルティメットホムンクルスという人類を超越した存在の仕事だ。普通の人には到底こなせるわけがない。

 じゃあ、誰がとなればもちろん私だ。マイマスターよりアルティメットホムンクルスの統括者を任せられている私なのだ。


 だから毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日、身勝手なるアイツらの代わりに仕事をしている。

 そうしてひたすら仕事をこなしていたある日、ハンゾウから最近マイマスターが退屈にしておられるという情報を貰う。


 その瞬間俺に天啓が走った。


 そうだ、マイマスターの退屈を紛らわすという名の元に、好き勝手にしているアルティメットホムンクルス達をまとめて大人しくさせよう。

 と。


 私も含めアルティメットホムンクルスは全員マイマスターに対して貢献することを至上の喜びとしている。

 そんなマイマスターが退屈しているとなれば、それは死活問題であり、私達にとっては最優先で解決しなければならない問題の一つだ。


 もちろん、私も今すぐにマイマスターの退屈を紛らわせてあげたい。

 だからこそこれを理由にマイマスターを楽しませるという目標を作ってあげる。その上でマイマスターを楽しませる上で守らなければならない事柄を立てる。

 この守らなければならない事柄の中に他の人に迷惑をかけないや、大きく金銭を使わない。地形破壊等を行わない等々を入れればきっとこれらを守るであろう。

 そうすれば、アイツらが好き勝手しなくなって俺の負担が減る。

 

 なんて、最高なのだろうか。

 よし、そうしよう。今すぐにそうしよう。


 かくしてアンクルはアルティメットホムンクルス達を集めさせるわけなのだが、この時はまだ知らなかったこれが完全に裏目に出て、マイマスターの為という大義名分の上で今まで以上にアルティメットホムンクルス達が好き勝手にして、騒動を起こしまくることを、自分の仕事が増えてしまうことをアンクルは知らなかった。

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