俺氏、常識を破壊してしまう
「隠蔽魔法・魔力隠蔽、シズク先生、大丈夫かファーーー」
シズク先生が俺の魔力を見られないように自分で自分の魔力を隠蔽する。
「い、今の魔力は一体・・・貴方、何者よ」
完璧に腰を抜かして俺の事をマジで得体の知れない化け物を見る様な目で震えてるシズク先生。
目の前でタイプの女性が怯えてくるような目で見つめてくれる。
う~~~ん。これは何というか、割と有りだな。
某、呪術師さんもアリだと言ってくれそうだぜ。
マジで我ながら良い性格してるぜ。
「そうだな、強いて言うならば、世界で最も優れた錬金魔法の使い手にして、アンクル十二統括者が一人、アスフォール家の五男である。グレン・アスフォールだファーーー」
我ながらめちゃくちゃな説明してるな。
何でアンクル商会の十二統括者=化け物が裸足で逃げ出すレベルの魔力を持つになるんだよ。ふざけすぎだろ。
「アンクル商会の十二統括者って、あのアンクル商会の最高幹部の一人ってことじゃない。そんな大物が何でこんな所に」
「あれ?多分朝礼の時に先生全員に俺についての情報共有がされていたと思うファーーー」
「ああ、いや。その実は、授業で使う資料を誤って破棄しちゃって慌てて作ってたから、もしかしたら聞き逃したかも・・・」
OH、ドジっ子。
マジで何ていうところでドジ属性を発揮してるんだよ。
「そういう訳だから、めちゃくちゃな魔力量を持ってるけど、別に怪しい者じゃない。ちゃんと父親も母親も純度100%の人間だファーーー」
俺は人間辞めてるけどね。嘘は言ってない。嘘は。
「そ、そうなのね。ごめんなさい。失礼なことを言ってしまって」
「大丈夫だファーーー」
よし、これで一件落着っと。問題はなし。
「いや、ちょっと待って、アンクル商会の十二統括者だからってその異常な魔力量の説明になってないわ」
あ、バレた。
流石に騙せなかったか。
「う~ん。でも別に俺が異常な魔力量を持ってても悪いことはないと思うファーーー」
「確かに、それもそうかもしれないわね」
「別に俺はこの力を悪いことに使うつもりはないし、アンクル商会十二統括者のの一人としてむしろ良いことに使ってるファーーー」
「それなら良いことかもしれないわね」
「そう良い事だファーーー」
・・・・・・・・・
何となく変な沈黙が走る。
ふと、周りを見渡すと、俺とシズク先生の絶妙に狂ったやり取りに驚いてる人や少々恐怖してる人が遠目に見ていた。
「あのうシズク先生、俺も魔法を打って良いですかね?」
空気を読んだモブイが手を挙げて現状を打破してくれる。
モブイ、お前って奴は。マジで最高だよ。つかモブイさっきも魔法打ってなかったかって、やっぱり現状打破の為にか。
「あ、ああ。もちろんよ。ごめんなさい。授業を中断してしまっていたわね。さあ、授業を再開しましょう」
シズク先生が手を叩いて授業を再開させる。
俺は、まあ魔法を放つのは辞めておくか。化け物過ぎるし。
「じゃあ、魔法を放ちますね。魔道活用・闇魔法・闇之爆獄」
的、というか訓練場が吹っ飛んだ。
威力を見て慌てて俺が無詠唱で結界を張ったから、被害は特に出てないけど、モブイよ。明らかにやりすぎだ。
もしかしなくても、シズク先生に良い所を見せようとして威力の高い技をつかったな?可愛い女性の前で格好つけたくなるのは男の性だからな。しょうがない。
「き、君もす、凄い魔力だね。というか今しれっとグレン君結界を張らなかった?それも無詠唱で、一応この的も訓練場それなりに頑丈に出来てるんだけど・・・それを破壊する魔法に守る結界って。ハハハハハ」
あ、ちょいシズク先生が壊れた。
明らかに常識が崩れ落ちた音が聞こえたぞ。
ついでに周りもドン引きしてるな。これは明らかにやりすぎ過ぎたかもな。
「もしかして俺やっちゃいました」
空気を読んでか読まずか、なろう主人公みたいなことを言いだすモブイ。
もう、お前が主人公だよ。
「的は破壊されても代わりがあるから大丈夫だけど。訓練場は修理のための業者を呼ばなきゃならないし、その間は訓練場使えなくなるし。監督不行き届きで私の責任になるから、減給されるかもだし、もう、何でこうなるのよ」
最後の方泣き言になってるし、何なら声が半分泣いてるぞ。
これはこれで有りだな。可愛い。
「大丈夫だファーーー。時魔法・時戻し」
何事もなかったかのように時を戻して訓練場と的を破壊される前の状態にする。
これで完璧だ。
「グレン、ありがとな。俺は時魔法使えないから助かったよ」
「そんな手間じゃないし大丈夫だファーーー」
「いや。ちょっと待って。待って待って待ってよ。今時魔法を使ったわよね。時魔法よ。伝説の魔法の一つよ。ある意味で死者蘇生すら可能であり、世界の摂理すら変えてしまう、最強の魔法よ」
シズク先生がキャラ崩壊しまくって愉快なツッコミキャラになってしまったぞ。
これはこれで有りだなって何でも全部有りじゃないか。元が美人だからしょうがないって奴だ。
「まあ、アンクル商会の十二統括者の一人だからファーーー」
「その言葉を全ての疑問を解決するための最強の言葉みたいな感じで使わないでよ。もう嫌だ。君とさっきの君、私よりも強いじゃん。圧倒的な格上じゃん。私、先生だけど教えられそうなこと何もないよ。もう嫌だ帰りたい」
「でも、俺はシズク先生から魔法、魔術の基礎を学びたいです。大きい魔法が使えても便利な基礎魔法という点では俺はまだまだですから」
何その謙虚系なろう主人公みたいな発言。やっぱりモブイお前主人公だろ。
「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ。私頑張るわ」
「はい。応援してます」
かくしてシズク先生は授業へのやる気を取り戻したのだった。
めでたしめでたし
何だかんだで丸く収まったな。
え?俺、別に全部の魔法使えるし、これからもシズク先生をちょいちょいからかいながら授業を受けるよ。
我ながら良い性格してるぜ。
―――――――――
忘れられている主人公もどき・・・。
ついでに更新を忘れている作者・・・。
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