俺氏、淡々と講義を聞かされる
教室に到着したが、面倒なことに主人公もどきにその幼馴染がいた。
「お、お前はグレン・アスフォール。何故ここにいる」
案の定というべきか主人公もどきが突っかかってくる。
「何故もクソも、俺もこの授業を取ったんだファーーー」
「あ、そういう。まあ。うんそれなら別に問題ないか」
もっと突っかかってくると思ったがあっさりと引いた。
何かあったのかね?知らんけど。
「グレン、とりあえず適当な場所に座って先生の到着を待つか」
「そうするかファーーー」
主人公もどきから少し離れた場所に座って先生の到着を待つ。
2分程待ったところで先生が教室に入ってきた。
「今から金曜午後・魔法術基礎講座を始める。起立」
ゲームの画面で何度も見たまんまのシズク先生だ。
水色の長髪、スラっと高い身長、身体の凹凸は小さいが女性らしさを確かに感じさせる程度にはある。
性格的にはポンコツ系クール美女という最高の属性を盛っている。
何というか素晴らしいな。
シズク先生が起立言ってるし、立つか。
周りを見るが皆しっかりと起立している。
「じゃあ今日はそこのお前、号令をしろ」
主人公もどきの方を指さすシズク先生。
これはゲームでも最初の授業は必ず主人公が選ばれるっていう設定だったのが、そこはしっかりと忠実だな。
「かしこまりました。では、礼。よろしくお願いします」
割と大きな声で礼をする。
周りもつられて礼をして、よろしくお願いしますと挨拶する。
「しっかりと挨拶が出来て偉いぞ。では着席」
皆が席に座る。
全員が席に座り終わったのを確認してからシズク先生が喋り出す。
「私の名前はシズク・レイカだ。得意属性は水魔術だが、ほぼ全ての属性の魔法及び魔術をレベル2程度ならば使える。
これから皆にはそれぞれの得意属性にあった魔法と魔術を教えつつ、日常生活やダンジョン攻略、戦争時に必要になるであろう基礎の基礎を教えていく。
基礎講座だから出来る限りは丁寧に教えていくし分からないところは教えてやる。ただ、サボったり居眠りしたりで出来ないという奴は容赦なく単位をはく奪するからな。分かったか」
アレだな。今更だけどクールというより厳格って言葉の方がシズク先生には似合うかもな。
「「「はい」」」
「さて、じゃあ初回の授業ということで、今から魔法と魔術について、そして得意属性の成り立ちについて説明をしていこうと思う。
皆知っていると思うが魔法とは体内にあるMPを消費して世界に影響を及ぼすことであり、基本的にイメージ・想像力と必要魔力にMPの条件を満たしていれば発動が可能な事象のことである。
上級者であればイメージ次第で様々な魔法を自由に発動をすることが出来る。
次に魔術というのは、どのようなプロセスでこの世界に影響を及ぼす事象を引き起こすのかを演算し、魔術式等を描いて発動する物である。
魔術式の組み方次第では自分のMPを消費せずとも、空気中にある魔力や魔石等を使って事象を引き起こすことが可能であり、自分の魔力やMP以上の強力な事象を引き起こすことが強みである。
ただし魔術を使用するにはそれ相応の知識に熟練度は必要であったり、魔術式に描かれた事象しか引き起こすことが出来ない等の欠点も存在している。
それでも自分の実力以上の力を発揮出来たり、大人数で協力して発動する、儀式魔術等はたった一撃で戦況を変えたり、都市を壊滅させれる力を持っている非常に強力な物だ。
そして、皆知っていると思うが得意属性とは英雄学園にて300年以上も昔だが在籍しており、一時期は教鞭も取っておられた大賢者・マーリン様の生み出した概念であり、生まれた瞬間からその人に最も適性がある属性が得意属性として目覚めるというものだ。
理屈とかはおそらく理解出来ないと思うから、そういうものだと認識していればいい。
ただ、近年では得意属性ばかりを鍛えて他の魔法や魔術がおろそかになってしまうという問題が起きている。
確かに得意属性は強力であり、成長率も他の魔法や魔術よりも圧倒的に速いが、それでも多少の才能の差はあれど他の魔法や魔術の習得は可能である。
一芸特化を悪いとは言わないが、それだけでは本当の戦いとなった時には隙が生まれやすいからな、そもそも・・・・・・・・」
先生めちゃくちゃ丁寧に話をしてるけど、正直、そんなずっと話されても生徒からしてみれば面白くないって、アレだな。
好きなことを語るときに饒舌になるオタク感を感じる。まあただただ生徒側の気持ちに立つのを忘れて話し続けちゃうドジを発揮してるだけだけど。
そこもシズク先生の良い所ではあるけど。
かくかくしかじかで止まることないシズク先生の講義は1時間程続いた。
正直、ついさっき昼ご飯を食べだということで半数以上が寝る寸前、1時間もただただ淡々と話を聞かされるのはきついって。
「一旦、講義はここまでしようか。じゃあ次は実践をするわ。さあ、皆訓練場に集まりなさい」
ようやく終わった。
長かった。いやマジで長かった。
しかしようやく実技か、これは思う存分無双しないとな。
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