俺氏、問い詰められるけどお酒がTUEEEする


「試合終了。取り敢えず一旦授業は中断だ。

 おい、グレン、モブイ。二人共こっちに来い話がある」


 ロンリコ先生に呼び出された。

 ずっとワールドを完全開放しといても邪魔なんで元の半解放である幽霊状態にする。


「じゃあ、俺はいつもの所でワイズマルと将棋の続きでもしてるよ。今日は中々楽しかった。ありがとう。モブイ君。ありがとう主様」

 幽霊状態でアンクル商会の支部にワールドは飛んでった。


「おい、情報量を増やすな。何?え?待て待て待て、え?ああ、もう全部説明して貰うからな」


 訓練場の近くにある教員用の小部屋に連れてかれた。

 

「それで?グレン、あのワールドって奴は本当にあのワールドなのか。世界の英雄にして英雄学園の卒業生の」


「本当ですファーーー」


「そうか。まああの強さ。本物だよな。ワールドって死んでた筈だよな?」


「ファーーーっすね。ただ、俺の力で英霊としてさ迷ってた所を契約してこの神器・バルムンクに封じ込めた感じファーーー」


「・・・・・・英霊ってアレか、強い意思を持った英雄の魂が死後も世界を守護する為になるあの英霊か?」


「正解に言えば、強い意思を持ったレベル99の魂は英霊になれるファーーー。善も悪も特に関係なく英雄じゃなくてもなれるファーーー。

 あくまで全体的に英雄がその条件に当てはまりやすいからそう勘違いされてるだけファーーー」


「そ、そうなのか。いや、きっとそうなのだろう。ここで嘘を付く理由もないしな。

 じゃあ、何故その英霊・ワールドが完璧な実体を持って登場した?というか当たり前のように使ってたが、神器を持ってたよな?神器なんて物どうやって手に入れたんだ?」


「神器は俺とその仲間で作ったファーーー、そんでもって、この神器・バルムンクの素材に英霊であるワールドの魂を使ったファーーー。

 その結果、神器・グラムはワールドを具現化させる能力を得たファーーー」


「は?何処からどう突っ込めばいいか分からん。

 え?神器を作ったといったか?グレン、お前は神なのか。というか英霊を素材にって・・・意味が分からない。ああ駄目だ。取り敢えず酒を呑もう」

 机の引き出しから酒瓶を取り出して呷るロンリコ先生。

 今、授業中だけど、まあ、うん。原作でも授業中に酒飲んでたし今更だな。


「ぷは~~~。やはり酒は良い。

 しっかしなるほどね。俺の生徒のグレンは神しか作れないはずの神器を生み出せるのか。

 しかも英霊とかいって死んだ英雄を実質的に蘇らせるっていう。

 ハハハハハハハハハハ、凄いな」


 あ。駄目だ。ロンリコ先生現実逃避に走り出した。

 まあ、うん。正直、自分でも落ち着いて考えれば結構やらかしてる気はしなくはない。

 最近、というか割とずっと神器を作り過ぎて神器が貴重な物って感覚が抜けてたわ。今まで作った神器は最低でも百は超えるだろうし・・・。

 モブイもナチュラルに持ってたし。

 ファーーーwww草。慣れって怖いわ。


「神器を作った。あれ?待てよ。グレンって神だったのか?

 そうすればあの異常な程に綺麗で輝いてる魂も説明がつく」

 ヤバい、モブイにとんでもない誤解が飛び火した。


「いや俺は神じゃないよ、一応人間だよ(ステータス上の種族は人間?になってる)。多分・・・。

 その、アレだ。俺ってアンクル商会で最も優れた錬金術師であり、十二統括者の一人ファーーー。

 この地位をフルに使って他の十二統括者や七幹部の力を借りて、最高の素材を集めれば何とか人の身でも神器ってのは作れるんだファーーー」


「そ、そうなのか。まあでも、グレンがそういうなら」

 モブイは何とか納得してくれたようだ。


「というか待て、グレン、お前ってアンクル商会の七幹部と伝手があるのか?」

 急にロンリコ先生が俺に詰め寄ってきた。

 ロンリコ先生の方が身長が大きいのでお胸が顔にうずくまるような形になり驚きの声(ファーーー)が出てしまう。


「ファーーー!つ、伝手というか、同僚的な?一応俺は十二統括者の一人だしファーーー」


「その、十二統括者って何だ?」

 まさかのロンリコ先生存じあげてない?嘘だろオイ。

 基本的にお酒と戦闘にしか興味ないからな、ある意味で納得か。


「アンクル商会にある全ての事業を12個に分け、その12個の事業それぞれにて最も優れた人を十二統括者として任命し、七幹部と同等の地位と権力を与えた立場だファーーー」


「え?それってめちゃくちゃに偉いじゃないの。

 じゃあ、じゃあ。グレン、お前の力でアンクル商会限定販売の天真純米大吟醸酒を買う事って出来るか?

 もし出来たら、今後変な詮索もしないし、単位も満点あげちゃう」

 天真純米大吟醸酒。

 生前もそれなりにお酒を嗜んでいた俺の趣味によって作られたお酒の一つ。

 せっかく作ったのでアンクル商会にてお酒達を販売しており、ロンリコ先生が求めているお酒は天力米という、魔力地帯でしかし育たない濃厚な甘さと食べると魔力が回復する特徴のかなり希少な米をベースとして作ったお酒だ。

 かなり貴重であり、市場に数はそこまで出回ってない。

 因みに俺はこの酒が普通に気に入ってるので今、アイテムボックスにストックはある。正直、余計な詮索されない&単位補償が付くなら、全然譲って良い。

 え?未成年飲酒?

 異世界だし、俺って毒耐性持ってるし、問題なし。


「何なら今持ってますね。余計な詮索をしないというのと単位の件守っていただけるならばタダでお渡ししますファーーー」


「キャーーー。もちろんよ。もちろん。当たり前よ」

 約束して貰えたのでアイテムボックスから取り出して渡す。


「これが、あの天真純米大吟醸酒。ありがとうございます。これは大事に飲ませて貰います」

 敬語になったよ。

 ロンリコ先生ってそんなキャラだっけって、何というか、お酒の力って凄いわ。


「喜んでもらえて何よりだファーーー。他にも色々お酒あるから欲しくなったらあげるファーーー」


「い、いいのですか。ありがとうございます。グレン様」

 グレンからグレン様になったよ。

 お酒TUEEE。


「もちろんだファーーー。何なら今度一緒に呑もうファーーー」


「もちろん同席させていただきます。では、余計な詮索はしないとのこのですので、授業に戻りましょうか。

 それとグレン様、一応お聞きしますが、モブイが半人半魔である件はどうしますか?この授業が終わったら校長先生に相談しようと思ってたのですが、グレン様の友人ですし気が付いてないことにしましょうか?」


 ・・・・・・・・・


「ファーーー???」

 なんか、最後の最後にとんでもない爆弾を投下してきたのだが。





――――――――――


 神器ってどらくらい凄いの?

 主人公とかいう実質チートをあげる側の神が来るまでは世界全ての神器を合わせても50も存在しないガチで貴重な物でした(過去形)。

 ゲーム内でも36個しか神器は存在しておらず、エンドコンテンツとして錬金魔法や鍛冶魔法等の得意属性である生産系統スキルのレベルをMaxにして材料を揃えれば作れますが、特定イベントでしか入手不可能な英霊、もしくは神の力が宿った素材がなければ作ることが出来ず、ゲーム内では量産は不可能でした。

 ただ、リアル世界になったことで片っ端から英霊を探し出したり、人工的に英霊を生み出したり、神の力が宿った素材も同じように探し出したり、複製したりして神器の大量生産が出来ちゃいました。


 神器はチートぶっ壊れチートぶっ壊れチートって言葉が似合う性能をしており、後々出しますが、まあゲームバランスを完璧に崩壊させるようなものばかりです。

 当たり前ですが、神器を使うには一定以上のレベルやスキルが必要なのでほとんどの人は使えず、神器を保有してる国は国宝として後生大事に宝物庫の奥深くに収められているような代物です。

 持ってるだけで一つの国を支配できるような代物です。

 ゲームでも終盤とかじゃないと基本的に使えません。


 それをナチュラルにたかだが学園の模擬戦闘にて使い始める主人公とモブイはマジで頭がおかしいって話です。


 それは、ちゃらんぽらんでお酒大好きなロンリコ先生でも慌てちゃいます。


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