俺氏、世界の英雄・ワールドが格の違いを見せる
「グレン、友人だからといって手加減はしないぞ」
「それはこっちの台詞だファーーー」
「じゃあ。結界セット完了。二人共武器はどうする?一応用意はあるが自前のを使ってもいいぞ」
「じゃあ。俺はこの刀を使います」
モブイが空間魔法から取り出すは、竜の頭のような持ち手から真っ黒な刀身が生えている、めちゃくちゃにカッコいい、中二病心をくすぐる刀だった。
感じるオーラからおそらく神器であると予想出来る。
一応、神器ってかなりレアなアイテムなんだが、当然の様に持ってるか。流石モブイだな。
じゃあ、こちらも神器を使わないと無作法という物だな。
「神器・グラム・完全開放・具現化ファーーー」
神器・グラム、俺が14歳の時にアンクルと鍛冶魔法を得意属性とするアルティメットホムンクルス、カグチと共に生み出した神器。
原作には存在しておらず、完璧に俺の趣味で作られている。
その性能はぶっ壊れチート神器という言葉が相応しい、狂った性能をしている。
そんなグラムの能力の一つである、完全開放・具現化。
これは、グラムを生み出すにあたり、素材にした英霊・ワールドを肉体を持って生前と同等の状態で召喚する技だ。
そして現れるは今から100年以上も昔の事、魔邪神信仰によって魔界に住まうアシットデッドドラゴンが召喚された。
しかし、その命を犠牲にして、アシットデッドドラゴンを討伐した世界の英雄・ワールド。
圧倒的なまでに鍛え抜かれた肉体を持ち、実力的にも精神的にも英雄という言葉これ以上にない程に似合う英雄の中の英雄。
「久しぶりの完全開放だな。
そして目の前にいるこいつが敵か?
確かに憎き魔族の力を感じるな」
・・・・・・・・・
え?
今、なんかナチュラルにとんでもない発言が聞こえたんだけど。
気のせいだよな。
「俺は魔族なんかじゃない。魔道術・獄炎破」
モブイが怒りの感情を露にして魔道術を行使する。
獄炎破、火炎魔法レベル8はなければ使えなさそうな、恐ろしい破壊力を持った炎だ。
ただ、そんなたかが、火炎魔法レベル8程度の威力しかない魔法に英雄・ワールドがやられるわけがなかった。
何もせずにその場でパンチをした。
たったそれだけで、炎をかき消す。
「ハハハハハ。この程度の炎、あの憎きドラゴンのブレスに比べれば何とか弱き事か」
「これならどうだ。外気功・金剛力士・仁王絶斬」
モブイの後ろに金剛力士像が現れて、共に刀を振う。
それは飛ぶ斬撃であった。
床を破壊しながら真っすぐワールドに放たれる。
「何と、珍妙な技を使う。たが、温い温い。甘い甘い」
その身体で一切の防御姿勢を取らずに飛ぶ斬撃を受ける。
普通であれば木っ端微塵な威力であるがワールドは無傷であった。
「これも効かないか。じゃあ直接攻撃させて貰うぜ」
モブイはおそらく縮地を使って一瞬でワールドの背後を取る。
多分、今の縮地俺とロンリコ先生以外認識することすら出来なかったと思う。
なんて早すぎる縮地だ。俺レベルでなくちゃ見逃しちゃうねって奴だ。
「どうした攻撃しないのか?」
モブイの刀身を左腕で掴んでいるワールド。
モブイは必死に刀を引っ張るが、文字通りビクともしない。
「ならば、闇魔法・闇穴。無限の闇の中に吸い込まれろ」
闇魔法・闇穴。確か放出系統の攻撃を一定範囲まで無効化する技だったな。
なるほどリアルの世界ならば、相手の肉体を吸い込ませるみたいなことも出来るな。
当たり前だが、ワールドには効かない。
「フーーー」
大きく息を吸い込んで吐く。
たったそれだけの動作で闇穴の許容範囲を超過させて破壊した。
「は?え?ファ?」
余りの異常な状況に思わずに困惑の声をあげるモブイ。
まあ、無理もない。
「さて、余り遊んでも申し訳ないし、一発で終わらそう。竜滅拳」
大気が揺れた。
比喩とかじゃない。本当に大気が揺れたのだ。
ワールドから放たれた拳は俺を除く全ての人に濃厚な死を覚悟させる程の力が込められていた。
ドン
一発音が聞こえた後、パリンと結界が割れた。
「俺の負けです」
モブイが頭を下げる。
「お前も中々に強かったぞ。戦って理解したが精神性は立派なものだ。これからも精進を続けなさい」
「ありがとうございました」
再度モブイが頭を下げてこの勝負は終わりを告げた。
因みに俺は終始空気でした。
めでたしめでたし。
――――――――――
英雄・ワールド
英雄学園の卒業生であり、魔邪神信仰が10万の命を生贄にして生み出した最悪の化け物、魔王よりも強大な力を持ったアシットデッドドラゴンをたった一人で、最後はその命を犠牲にして討伐した世界の英雄。
アシットデッドドラゴンの強さでいえば、魔王や邪神の場合は聖剣等の特攻武器がある為に割と簡単に倒せるが、そういう特攻武器がなく、単純なHPでいえば実質的には魔王の300倍くらいあるガチの化け物。
ゲーム内ではレイドボスモンスターとして登場しており、最低でも全員のレベルを99までカンストさせて武器もこだわらないと勝てない相手だった。
アシットデッドドラゴンの大きさは100メートルを超えており、身体からは死のオーラを放ち、レベル60以下の生命体は近づくだけで死滅してしまうという狂った性能をしている。
これに一人で勝ったワールドがどれだけ化け物であるかというのはもはや論じる必要がないであろう。
ただせっかくなのでワールドのステータスと大雑把な過去編を公開しよう。
名前 ワールド
年齢 37歳
性別 男
種族 人間?
レベル 99
HP 19999
MP 0
攻撃力 19999
魔力 0
防御力 19999
俊敏 19999
得意属性
――――
神スキル
拳神LV1
最上位スキル
努力王LV10
称号
魔力無し 蔑まれし者 下剋上 喪失者 裏切られし者 絶望者 修行者 努力王 拳神 ドラゴンスレイヤー 世界の英雄
ステータスから予想がつくが、ワールドは非常に珍しい魔力を持たない少年であった。
そのために得意属性も持っておらず、幼少期は家族から冷遇されながら育った。
それでも家族のことを想っており、自分が弱いから駄目なのだと、強くなるために己の肉体のみで戦う拳術を習得する。
死ぬ気で努力を重ねて、英雄学園に首席で合格し、家族や周りの人から認められる。
幸せの時間はそう長くは続かず、家族が全員不審死を遂げた。
意味の分からない状態の中、何故か自分に罪が着せられて投獄される。
獄中にて、死んだはずの妹が現れて自分が魔邪神信仰に家族を売り、これから強くなって魔王様復活の邪魔をするであろうお前を始末する為に罠に嵌めたと教えられる。
何もかもが信じられなくなり、全てに絶望してる最中、死刑が言い渡されて、処刑台に立たされる。
ただ、そこに悠久の時を生きる大英雄・武天が裏切者であった妹の生首と共に現れる。
事情を説明して解放されるワールド。
それから魔邪神信仰ひいては魔族への復讐を果たす為に武天に弟子入りをする。
厳しい特訓の末に拳神となり、師匠である武天を超える。
人里に戻り、困ってる人を助けながら魔邪神信仰や魔族を倒していく。
そんなある日、あのアシットデッドドラゴンが王都付近に現れる。
このままでは多くの犠牲が出ると立ち向かい、最後は自分の全HPを消費して放つ大技、神卸しを使い、たった一人でアシットデッドドラゴンを倒す。
かくして世界を救った英雄となったワールドは今も人々に語り継がれている。
書いてて思ったが、ワールドの過去編がマジで主人公過ぎる。
しれっと悠久の時を生きる英雄・武天と神卸しっていう、割と重要なワードが出てる。
後、主人公とワールドが1対1で戦えば、今の主人公の方が強いです。
主人公がどれだけ化け物かっていうのはまたいつか。追い追い。
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