俺氏、主人公もどきの魂が真っ黒に汚れてると知る
「おい。そろそろ授業を始めるぞ。そこ揉めるなら後にしろ」
俺が主人公もどきと揉めていたら先生から注意が入った。
注意をしてきた先生はヒロインではないものの非常に人気のあるキャラの一人であり、この授業の担当教員だ。
名前はロンリコ、レベルは64と普通に高く、得意属性は対人魔術という対人戦闘に特化した能力である。
見た目は色白で胸は大きめ髪はピンク、身長は190とかなり大きく、ロンリコという名前をしてるだけあってお酒が大好きで、授業中でも偶に酒を飲み始めたりする。
口調は荒っぽく、俺っ娘であり、悪いことをしたり授業の進行を妨げたりした生徒に普通に暴力を振う。
そんな、現時点では主人公もどきよりも強く、対人戦闘ならばレベル以上の力を発揮するロンリコ先生の注意を無視して言い争いを続ける程、俺も主人公もどきも愚かではなく、フンとツンデレヒロインみたいな反応をしながらそっぽを向いてから、ロンリコ先生に揃って頭を下げる。
「ハア、分かればいい。俺はもう少し授業の準備をするから、喋るのは構わんが、揉めたりするなよ」
ロンリコ先生はまた別の生徒の注意に向かった。
「グレン?アイツと揉めてたけど何かあったのか?」
「ファーーー、まあ。何というか・・・互いに互いを嫌ってるんだよ。詳しくはちょっと説明が難しい」
モブイに異世界うんぬんかんぬんから始まって魔王殺しの英雄学園の説明をしないと俺と主人公もどきの問題は説明出来ないからな。
モブイは良い奴だが、流石にこんな滑稽で狂った話を説明して信じて貰えるかは分からないし、混乱するだろうからな。
「一つ疑問何だが、グレンならあの嫌いな奴簡単に殺せるだろ?何で殺さないの?」
なんかモブイの倫理ィが終わってる発言が聞こえたんだけど。
「ファーーー、別に殺す程嫌いって訳じゃないし。アイツが今現在殺さなければならない程の罪を犯したかと言えば微妙なラインなんだファーーー」
主人公もどきは別に悪いことをしてるかという点で言えば微妙なラインなんだ。
それはまあ、色々と調べたら人妻(幼馴染のお母さん)に同意の上で手を出したり、原作をめちゃくちゃにするような動きをしたり、ゲーム内にて将来的に犯罪を犯すキャラをキリリングゴーしたりはしてたけど、それが殺される程の罪であるかとなればそうじゃない。
最後のとかは結果的には多くの人の命を救う行為だから、むしろ肯定すら出来る。
そんなことを言えば俺なんて原作をめちゃくちゃにするどころか、魔王殺しの英雄学園にて、ラスボスであり凄く大切な存在である魔王が復活出来ないようにしてしまってるからな。
ただの学園にしてるからな。
だからまあ、正直俺の中では主人公もどきは短絡的で幼稚な、中二病を拗らせまくった異世界転生者だけど、前世の日本人性が抜けてないのか大きな犯罪等はしていない、割と許容の出来る存在ではある。
「そうなのか。グレンがそれでいいならいいと思うが・・・あそこまで魂が黒く染まってるし、殺した方が良い気はするぞ」
「魂が真っ黒に染まっているファーーー?」
魂?何それ?え?モブイって人の魂でも見れるの?普通に凄くね。マジでファーーーじゃん。
「ああ。そうだ。魂が真っ黒に染まっている。
普通の人よりも倍くらい大きくて、中心部だけは何故か少し明るいけど外周は恐ろしい程真っ黒だ。
一体、どんな罪を犯せばあんな色になるのか俺には理解が出来ないよ。
それこそ俺の見た中では5本の指に入るレベルの醜く汚れた魂だ」
「ファーーー、そうなのか。じゃあ俺の魂はどうだ?」
「グレンのは神光しい程に輝いていて、何百万、何千万という人の魂から祝福がされているような感じだ。
一緒にいて心地良い本当に綺麗な魂だ。
一体、どれだけの徳を積み、どれだけの人を救えばこんな魂になるのか。一体どんな人生をって、すまん。過去の詮索は良くないな。俺にだって知られたくない過去はある。忘れてくれ」
「ファーーー、別にいいよ。気にしないでくれ。俺の魂がこんな綺麗な理由は一応思い当たる節はあるからさ」
まあ、アンクル商会とダーネス作って世界中に蔓延る犯罪組織を片っ端から壊滅させて悪徳貴族も片っ端から壊滅させて、慈善活動に励みまくってるからな。
それは、そんな魂になるわな。
「そうか。それなら良かった」
俺とモブイの話がひと段落ついた当たりで、生徒が全員揃ったのか、空間魔法で取り出したであろう壇上に登り声を出す。
「よし。お前ら全員揃ったな。今から対人戦闘基礎講座を始める。
最初の授業はお前らの実力を確認したいんで模擬戦闘からスタートだ。
一応パンフレットにも書いてあったが、この訓練場には特殊な結界が張ってあり、自分の総HPの5割までのダメージを無効化してくれる。
このダメージ無効化が先に切れた方が負けというシンプルなルールの模擬戦闘だ。
という訳で模擬戦闘の相手だが、俺の方でさっきお前らがわちゃわちゃお喋りしてる様子から判断した、最も実力の近い相手だ。
俺が都度、指示をする。時間も限られてるしさっさと模擬戦闘始めるぞ。
初戦はグレン・アスフォールとモブイだ。
二人共、真ん中にある結界の中に入れ」
ロンリコ先生に言われるがままに俺とモブイは結界の中に入った。
――――――――――
補足説明
主人公もどきの魂がまっくろくろすけなのは、自殺をしてるからです。
しかも主人公もどきの場合はただの自殺ではなく、大勢の人に迷惑がかかる形で他人(前世の主人公)を巻き込んで自殺してるからです。
ただでさえ魂が黒く染まる自殺という行為、普通であれば自殺した時点で魂が黒く染まるとか関係なく死ぬので関係ないのですが、何の因果か自殺したことにより異世界転生を果たした主人公もどきは自殺したという因果を背負ってきちゃいました。
それにより、本来であればあり得ない魂の汚れ方をしたという訳です。
一応、今回の話には後3つ程フラグがあるけど、そこら辺はまた追い追い。
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