俺氏、これだから才能マンは嫌だファーーー


 木曜日の午後の授業は対人戦闘基礎講座だ。

 名前が何となくカッコいいから取った授業だ。

 割とふざけた理由ではある気はしなくもないが、まあレベル100を越え、全ステータスも狂ったようなことになっている上にほぼ全てのスキルを最上位スキルまで鍛え上げ、チートアイテムやらチート神器までも保有し、何でも出来てしまう俺だ。

 どんな授業をとっても余裕で無双出来るし、どの授業でも俺が学べるようなことはほとんどないだろう。

 正直、授業選択なんて名前がカッコいいからというか適当な理由でもいい気はする(良い子は真似しないでね)。


 という訳で名前がカッコいいから取った対人戦闘基礎講座の授業に向かう。


 向かっている途中、モブイを見かけた。


「モブイ2日ぶりだファーーー」


「グレンか。今から授業か?」


「もちろんだファーーー」


「俺もだよ。因みに俺の取った授業は対人戦闘基礎講座ってんだが。グレンは何を取他?」


「奇遇だな。俺も同じ授業を選択してるファーーー」


「おお。そうか。じゃあ一緒に行くか」


「良い考えだファーーー」


 モブイと授業が行われる訓練場に向かう。


「そういえば、グレンは魔道の特訓はしてたか?」


「一切してないファーーー」

 正直、完璧に忘れてたな。

 ただ、オセッセは毎日してたし、ある意味で魔道の特訓して・・・はないな。うんこれは言わないでおこう。


「そ、そうか。俺は色々と試してみたのだが、魔道ってのは中々に使い勝手が良いな。

 いや、正確に言えば魔道よりもその基礎となる気っていうのが凄く良い。

 単純な肉体強化はもちろんのこと再生速度や反応速度といったものも上昇が可能であり、気を様々な形に変化させて攻撃や防御に活用をすることだって出来る。

 更には気を他者に分け与えることで他所の回復速度や身体能力を向上させることだって出来た。

 もっと早くこの力を知りたかったよ。

 いや、本当にね、もっと早く気について知っていれば・・・あの時、気が使えればなって・・・あ、ごめん。何でもない。気にしないで」

 最初はめちゃくちゃ楽しそうに話していたけど、最後急に声のトーンが下がる。

 これは、ラノベあるあるだったら力が足りなくて家族なり恋人なり親友を亡くしてしまったって感じかな。

 流石にセンシティブ過ぎるし、触れないでおくか。

 つか、最後の気にしないでとか気にしてねって言っているような物やん。

 後、ふと気になったが、もう気をマスターしてないモブイ?

 魔王殺しの英雄学園にて気を使って他者を癒す武功って治癒武功って言ってかなり高難易度の武功だった筈なんだけど・・・マジでモブイ天才が過ぎるよ。


「ファーーー、気ってのはそんなに凄いのか。じゃあ俺も今度色々と試してみるわ」


「おう、そうしてくれって、何だかんだで喋ってたら訓練場についたな」


「そうだなファーーー」


「対人戦闘基礎。どんな授業か楽しみだな。せっかくだし気の力を存分に発揮させてやるぜ」

 

「モブイは強いんだから手加減はしっかりしろファーーー」


「まあ、流石にするよ。そこまで心配するな」


「ファーーー、それもそうだな」


 二人で軽く喋りながら訓練場の中央の人の集まってる場所に到着する。

 おそらく生徒の集まりだろう。

 人数はパッと見だが100人程度、割といた。

 例のごとく知り合いを探してみるって、あ。

 

 知り合い、いたわ。

 それも出来れば余り関わりたくない人が。


「お、お前はグレン・アスフォール。何故こんな所にいる」

 俺に気が付いたのか、わざわざ指を指して大声をあげる馬鹿もとい主人公もどき。

 余りの馬鹿さ加減にため息がこぼれる。


「ハア、それはこっちの台詞だファーーー」

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