俺氏、尊敬できる人に土下座される

 ひと悶着ありつつも、俺は教室の前へと辿り着いた。

 

「グレン・アスフォール様、どうか、どうか、この愚かな私に代わり教鞭の方を取っていただきたいです」

 いきなり白衣を身に纏ったボサボサ髪のお兄さんが俺に華麗な土下座を披露してきた。

 余りにも華麗な土下座、俺でなければ見逃しちゃうね。真面目に土下座早すぎて全然顔見れてない。

 マジで誰だよ。

 というか俺今日だけで朝から二人もの初対面の人に土下座されてるんだけど?

 え?何土下座デーか何かですか?マジで何があった?


「ファーーー、まず貴方は誰ですか?」

 

「これはこれは、申し遅れました。私、この錬金術講座の担当教員の方をさせていただいております。

 パラケル・ススラと申します。

 得意属性は医療魔術でレベルは7、錬金魔法の方もレベル7まで鍛えております。どうぞお見知り置きを」


 パラケル・ススラ?

 え?それって確か魔王殺しの英雄学園において珍しく男性キャラでありながら、割と出番を貰ったキャラの一人じゃなかったけ?

 確か、設定では人の命を救うことが心情であるススラ家に生まれ、多くの人の命を医療魔術で救う中、錬金魔法を使えば簡単に多くの薬を生み出して多くの命を救えるのではないかと思いつき実行、得意属性でない錬金魔法を鍛え上げて、作中では高品質の回復アイテム安く売ってくれる神みたいな人だったな。

 2、3周目になると使わなくなるけど、1週目の時はマジで重宝する上にパラケル先生のサブストーリも存在していて、割と泣ける話だったのを覚えてる。

 後、普通に精神性がマジで良い人。

 回復アイテムを安く売ってくれる理由とかが自分の回復アイテムで助かる人がいるのであればっていう感じだったからな。

 ごめん、普通にアンデッド経験値取得方とかで使ってたりした。

 普通に俺にとって尊敬出来る偉大な人だ。

 

「ファーーー、そうか、貴方、いや貴殿がパラケル・ススラ先生か。俺なんかよりも貴殿の方が教師に向いている」

 

「わ、私をご存知なのですか・・・」


「ファーーー、そうだな。パラケル先生が多くの人の命を救わんとする、偉大なる人物であるという程度にはな」


「私なんて、アンクル商会によって救われた命を考えれば、未熟者です。偉大なる人物なんて言えません」


「謙虚も過ぎれば嫌味だファーーー。パラケル先生によって救われた人にとって見れば偉大なる人物そのものであり、素晴らしい心の持ち主だファーーー。

 俺はそんなパラケル先生の方が時には簡単に人の命を奪うアイテムすら作れてしまう錬金魔法の教師であるべきだと思うファーーー」


「グレン・アスフォール様・・・・・・分かりました。私、頑張って教師をしてみようと思います。

 よろしければ見守っていてください」


「もちろんだファーーー

 そうだ、それとこれをあげるファーーー」

 アンクル商会にて全ての商品を原価とほぼ等価である30%オフで購入出来、普通は買うことの出来ない、特殊な素材等を買えるようになる証である。

 ミスリルバッチを渡す。


「これはもしかして、十二統括者と七幹部に認められた人のみが貰える。あのミスリルバッチですか。いいんですか、これを私にくれて・・・」


「ファーーー、気にせずに受け取ってくれ」


「ありがとうございます。ありがとうございます」

 また、土下座された。


「ファーーー、顔をあげてください。もうそろそろ授業が始まりますファーーー」


「そ、そうですね。ありがとうございます。では私は授業の準備の続きをします」

 パラケル先生は教師の中に走っていった。

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